ウォルタースドルフ路面電車(上) 森の中を走る ドイツ ベルリン 服部一人
ベルリンは鉄道ファンにとって楽しい街だ。
DB(ドイツ鉄道)のほかにも市内にはUバーン、Sバーンが張り巡らされ、さらに旧東ベルリン地区にはトラムも走っている。トラムの総延長は176キロもあるというし、地図を見ていると町外れにまで延びている。丹念に乗りつぶしたら、きっと面白いロケーションがあるはずだ。しかし車両はほとんどが今どきのLRTで、洗練されたスマートな外観だが、古い物好きの私としては、もう少しクラシックな物が見たい。
ベルリン中央駅から国電のSバーンに乗って東へ30分少し。郊外と言っていい場所にランスドルフという駅がある。この駅前からトラム87系統が出ている。ベルリンのトラムの中で、ここは他の路線とまったく接続しない単独の路線だ。終点のウォルタースドルフまでわずか5.6キロを単線で往復するだけだが、レトロな2軸単車のトラムが走っているのだ。
ランスドルフ駅周辺は森が多く、一見したところ人家もほとんど無く、ガランとした印象の駅だ。昼間でも人影は多くないし、車の交通量もたいしたことない。こんなところにトラムが走っているのだろうかと、いぶかしむ気持ちになるが、駅を出たすぐ前に小さな停留所があった。電車はいなかったが、線路はすーっと深い森の中に続いている。琴線に触れるいい雰囲気だが、普通のトラムのロケーションとは趣が違う。電車は20分に1本。さして待つこともなく森の奥からゴロゴロと音がして、黄色のかわいらしいトラムが単行でやってきた。なかなかいい感じのスタイルである。
深い森の中から電車があらわれた。
ランスドルフ停留所。
右側の家が運転士の詰め所。到着すると、ここで休憩し、発車直前になって、また電車に戻ってくる。
少し写真を撮ったあとに、さっそく乗車することにした。ランスドルフ駅を出発すると、すぐにうっそうとした森の中に入る。昼間でもやや薄暗いような森の中を電車はひたすらまっすぐ走る。本当にこの先に街があるのだろうかと思うくらい、ただただ森の中である。途中に駅はないが交換設備があった。長く感じたが5分足らずの後、突然視界が開け、街並みの中を走り始めた。(この項続く)
けっこうなスピードで森の中を飛ばす。2軸単車だが、乗り心地は悪くない。
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