遠い記憶の中で 深川俊一郎
写真の記録性と芸術性は、流れる時の中で、いずれその境界線が見えなくなってゆくのでしょうか…
写真にはその時に意識せずとも、その瞬間、その時代を記録した事実が宿命として存在します。
「あの時何故もっと撮らなかったのか」という悔恨の念は、消えていった鉄路や車両のみならず、地形や風土、その瞬間の人々の表情にまで及びます。
写真展ではなかなか発表できず、でも自分にとってとても大切な1枚を、この場を借りて少しずつお見せしたいと思います。
青空の駅
在りし日の、朝の交換駅にて。オホーツク海からは涼しい潮風が吹きわたり、北国の短い夏休みを、青空が優しく包み込む。
「網走行・中湧別行、間もなく発車ぁー」の掛け声に、白いブラウスも眩しい私服姿の学生たちが、駆け込んでゆく。
遠い日の確かな記憶…
minolta XD MC W.ROKKOR 24mmF2.8
微風とともに
何もない・・・そんな印象の鉄路。名前に反し、それ以上北に延びることはなかった、北進行。
何もなく、ただ去ってゆくキハ22を撮ったあの日、微風とともに、手を振る子供たちの姿が緑の中で輝いていた。
遠い日の確かな記憶…
minolta XD MD TELE ROKKOR 135mmF2.8
あれから30年、奇しくも仕事で縁があり、この地を毎年必ず訪れています。
今ではその気配すらなくなってしまいましたが、ふと、「ここを列車が走っていたのだ」と思いながら空を見上げるのです。
« LongDistance 梅村貴子 | トップページ | 梅雨の晴れ間に 太和田光一郎 »
「深川俊一郎」カテゴリの記事
- 北へのいざない-宗谷本線2025⑤ 深川俊一郎(2025.03.18)
- 写真展開催のご案内 深川俊一郎(2025.03.20)
- 北へのいざない-宗谷本線2025④ 深川俊一郎(2025.03.06)
- 北へのいざない-宗谷本線2025③ 深川俊一郎(2025.02.21)
コメント