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2012年8月 7日 (火)

ドイツのナローSL(上) ハルツ狭軌鉄道 ブロッケン山に登る小さな汽車旅  服部一人

 
 ドイツ中部のハルツ山地には、ブロッケン山という魔女伝説で有名な山がある。読んだことはないけど、ゲーテの戯曲「ファウスト」にも登場するそうで、なんでも年に1度、近在の魔女たちがこの山頂に大集合してお祭り騒ぎをするのだそうだ。

 山歩きの好きな人なら「ブロッケン現象」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。霧が立ちこめる朝などに太陽 の光が背後から差し込むと、その人影が霧の中に映し出され、影のまわりに虹色の光輪ができる山の気象現象だ。この山の名前が由来で、こちらでは「ブロッケンの妖怪」と呼ばれて神 秘の山の魔女伝説の元になったらしい。なにしろブロッケン山では1年のうち半分以上は霧が出ており、100日以上は一日中霧が立ちこめるという。

 そのブロッケン山に登る有名なハルツ狭軌鉄道。始発駅のヴェルニゲローデ駅のホームには汽車がすでに発車の時刻を待っている。落ち着いた赤い色とクリームのツートンカラーの客車は堂々の8両編成。

6_2ヴェルニゲローデを出発した朝一番の列車 

5_2 こちらは山から下りてきたばかりの列車。

 

 すぐ横を走るドイツ鉄道の本線を走る列車よりは一回りくらい小さな車両だ。メーターゲージなのでナローということになるが、汽車はEタンク、山登りにふさわしい力強い形だ。うらやましいのは、こんな小さな鉄道でも食堂車と自転車が積み込める荷物車が連結されていることだ。食堂車ではコーヒーや本場のビールも飲めるし、サンドイッチやソーセージなどの軽食がある。ブロッケン山に登る森の景色を眺めながら一服するのはぜいたくな気分だろう。


 ハルツ鉄道はヴェルニゲローデからブロッケン山頂まで34キロ、約1時間40分の汽車旅である。線路はひたすら上り坂。ヴェルニゲローデの標高は234メートル、終着ブロッケン山は1125メートルなので、一気に900メートルほどを駆け上ることになる。
 

1_2ヴェルニゲローデの機関庫。右2台は主力のEタンク、左はピカピカに磨かれたお宝のBBマレー。

 

2_2  さて、汽車は定刻に発車した。家族連れやカップルなどで車内は賑やかな雰囲気だ。みな自然とふれあうためにやってきた人々だ。ヴェルニゲローデを出発した汽車は市街地の中を15分ほど走った後は、いよいよ山の中へと進路を進める。地形に沿って引かれた線路はほとんど直線がなく、カーブの連続で少しずつ高度を上げていく。山頂近くまでずっと森の中を走るので車窓の視界は開けないが、キラキラと輝きながら移りゆく木漏れ日がみずみずしい。森林の間にこだまする汽笛を聞きながら、右に左にカーブを切る汽車の揺れに身を任せ、心地よい気分に浸る。

4_2 ドラフトと共にゆっくりと登ってくる。

 次第に上り坂がきつくなり、汽車の排気音も一段と力強くなる。せっかく蒸気機関車が牽引しているのだから、音や煙も全身で味わいたい。車内でおとなしく座っているのがもったいないので、カメラを持ってデッキに出てみた。汽車の魅力を存分に味わうならデッキは特等席だ。男の子を連れたお父さんがいて、子供もうれしそうだが、なによりお父さんの表情が心から楽しそうである。小さな汽車旅は大人も少年の心に帰ってしまうのだ。

 

3山頂近くを走る。今日は霧もなく穏やかな日だ。

 

 終着のブロッケン山は意外なほど殺風景なところだった。駅の前にはさえぎるものは何もなく、幸いにして名物の霧も出ていなかったので、目の前に雄大な風景が広がっている。乗客は、しばしたたずんで下界の景色を眺める人、装備を確かめハイキングに出かける人、マウンテンバイクを持ち込んでのサイクリングを楽しむ人など、列車が到着したあとには三々五々、人々は散らばっていく。夏でも風が強く肌寒い日もあると聞いていたので、覚悟して厚着をしてきたのだが、今日は拍子抜けするくらい穏やかな日だ。アウトドアを楽しむ人にとって、きっと楽しい一日になるだろう。

 ブロッケン山はまだドイツが東西に分かれて存在していた頃、国境が引かれていた場所だ。山頂には東側の軍隊の国境警備基地があって、このあたり一帯は一般人の立ち入りは厳しく制限されていたという。今でこそ山岳リゾートとして多くの人が訪れるが、当時は張り詰めた空気が支配する別世界だったのだろう。


 ハルツ鉄道も長らく運行を休止していたが、東西ドイツ統一後、1992年から念願の再開を果たし現在に至っている。今日のようなのどかな天気の日に、そんなきびしい時代のことを想像するのはむつかしいけれど、平和のありがたみを感謝しつつ、僕も歩き始めた。

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