夏の思い出 大井川鐵道(下) 井川線 服部一人
昨日は千頭でのSL撮影だったが、(こちらhttp://blog.rail-on.com/2012/08/post-fc5d.html) 今日は井川線で奥大井湖上駅を目指す。昨日に引き続き、残念ながら今日も雨だが仕方ない。千頭から奥泉は依然不通が続いているのでバス代行である。千頭を出たバスは大井川を見下ろしながらすいすいと進み、わずか10分足らずで奥泉に到着した。同じ区間を井川線だと30分かかる。ローカル線に平行して新しい道路ができると、鉄道は勝ち目がないな、ということを改めて感じさせられる。
奥泉駅に折り返し列車がやってきた。トンネルの断面積と車両の小ささがたまらない。
土砂降りの中、上下列車が交換する。長島ダム駅
奥泉から先は、お待ちかねの井川線だ。ホームに進入してきた客車の背の低さがムードをかき立てる。ゲージこそ1067ミリだが、まさしくナローの雰囲気である。降り止まない雨の中、小さな列車は名物のアブト区間を越え、奥大井湖上駅に着いた。折からの雨と霧で視界も悪いが、噂にたがわぬ秘境駅だ。目の前は緑深い大井川上流。ホームの両端は鉄橋。見える範囲に人家はない。鉄橋を歩いて渡り、この駅が見渡せる有名なお立ち台まで登る。
乳白の景色の中の赤い列車と鉄橋が可愛らしい。奥大井湖上駅
雨に濡れて、足もとも悪く、悪戦苦闘しながらお立ち台までたどり着いた。霧でかすんでいるが、ここからの眺めはさすがにすばらしい。ホームに立っているより、こちらの方が駅の置かれている自然条件がよくわかる。よくもまあ、こんなところに駅が....と感心する。雨の中、次の列車を待って撮影し、あとは隣の接岨峡温泉駅まで歩く。さらに終点井川まで行くつもりだったが、天気が一向に回復する気配もないため、予定変更して千頭に帰る。
今からならSL列車の出発に間に合う。千頭では、昨日の鉄橋まで急いで歩きカメラを構える。不思議と雨が止んで明るくなった。今日はC11190、流し撮りは手応えがあった。
千頭〜崎平
帰りの電車は元近鉄の16000系。ふっくらしたシートに腰掛けて、まずまずの満足感であった。この二日間、天気には恵まれなかったが、乗って撮ってを堪能した。
それにしてもだ。両親に連れられての初訪問からすでに30年以上。いまだに再訪するたびに、その時の楽しかったことを懐かしく思い出す。子供にとっては、夏休みには「良き思い出」というものがいかに大切なものかと、しみじみ思う。すっかり大人になってしまった、かつての写真少年はそんなことを考えながら帰路についた。
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