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2012年8月19日 (日)

夏の思い出 大井川鐵道(上)SLに乗って千頭まで   服部一人

夏が来れば、思い出す....。という歌があるが、僕の場合、それは大井川鐵道である。
中学1年の頃であったか、夏休みに両親にせがんで大井川鐵道に連れて行ってもらった。当時はまだ本線の蒸気運転は行われておらず、小型のクラウスが千頭と川根両国のひと駅区間だけを行ったり来たりしていた。その頃は名古屋に住んでいたので、父の運転するカローラに乗って家族旅行である。千頭の旅館に宿泊し、両親はゆったりとくつろいでいたが、僕は1人でさっそく撮影に出かけ、ペンタックスSPFを持って川根両国との間を歩いて往復した。

たったひと駅だが、わずかながら大井川沿いを走る見晴らしのいい区間もあり、また森をバックに走る場所もあり、線路脇には切り出した丸太が無造作に転がっていたりして、森林鉄道のような雰囲気も味わえた。この時は初めてコダックのエクタクロームXを買ってポジの撮影に挑戦したのだが、帰宅後、現像から上がってきたポジを、光にすかして見た時の美しさは忘れられない。夏の生命力あふれる木々の緑が、実にみずみずしく写っていたのだ。すばらしい発色だった。逆光での木漏れ日の美しさも印象的だった。これはペンタックスのSMCタクマーレンズのマルチコーティングも良かったと思う。紙のマウントに印字された、EktachromeとかKodakという横文字も、なにやら超カッコイイ感じで、写真少年は一発でしびれてしまったのだった。

子供心にもコダック製品の優秀さには感心したのだが、いかんせん、写真少年にとっては値段が高すぎた。その後もいろんな所に撮影に出かけたが、ほとんどはモノクロで、たまに少し安いフジクロームを使うくらいだった。エクタクロームをまた使い始めるのは、ずっと後の写真学校に入ってからである。

そんなわけで、このお盆休みに大井川鐵道に行ってきた。あいにくと新幹線も止まるほどの集中豪雨があって、大井川鐵道も井川線の千頭と奥泉の間で、土砂崩れの危険性があるとのことで不通になってしまった。それでもお目当てのSL列車には乗車できたし、前から行きたかった井川線の奥大井湖上駅にも立つことができた。

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旧型客車に渋い電機、木造の駅本屋や味のあるホームの屋根など、大井川鐵道はSLだけでなく、レトロの魅力がいっぱい。

新金谷から乗車した「SLかわね路1号」は、土砂降りの雨でダイヤが乱れた接続列車を待って、約10分の遅れで出発した。
本日先頭に立つのはC5644。客車6両を牽引して千頭を目指す。車内は8割方埋まっている。ほとんどは家族連れでにぎやかで楽しい。いかにも夏休みだ。僕は大井川鐵道の経営者でもないけど、車内が埋まっているとホッとする。大井川鐵道は四季を通じて、さまざまなイベントやグッズ販売などで熱心に経営努力されていて、いつもその姿勢に頭が下がる。こちらも敬意を表してお弁当とSL人形焼きを買う。

雨はやまないが、列車に乗ってしまえば雨の車窓も風情がある。雨に洗われる茶畑、大雨で対岸がかすむほどの大井川を眺めていると、飽きることなく千頭に到着した。駅を出てターンテーブルに向かい、転回するSLを撮影したあとは、千頭駅を出て少し先にある鉄橋まで歩いて陣取る。幸いなことに雨も上がり薄い日差しも出てきた。今回はシンプルにボディ1台、レンズ3本だけで来たのでいたって気が楽である。今日はSL列車は2本なので、1つ目は100ミリ、2本目は50ミリでアングルを変えて撮る。初日としては、まずまずの手応えか。明日は井川線に乗ろう。(この項続く。)

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千頭駅は初めて訪れた頃とそんなに雰囲気が変わっていないように思う。大井川に沿ってひらかれた広い構内には、さまざまな留置車両。行き止まりのホームと背後の山も終着駅らしい。

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2012_08_14__0233_2   3枚とも千頭〜崎平にて撮影
 

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