夏の名残り、秋の始まり えちぜん鉄道 服部一人
年に1、2回、金沢に行く用事があって、いつもそのあとに北陸の私鉄沿線を歩くことにしている。
今回は福井から出ているえちぜん鉄道。終点の勝山まで行ってきた。この鉄道を初めて訪れたのは高校1年の時だから、もう30年以上も昔の話。当時は京福電気鉄道だった。この時は福井口の車庫で、すでに廃車体になっていた旧型電機などを撮影したあと、福井鉄道を撮影するために武生に向かっている。その後何回か訪ねたことがあるが勝山まで行くのは今回が初めて。
福井駅で切符を買うときに、無意識に券売機を探してしまうが、この鉄道には券売機がないということを初めて知る。窓口で勝山までの切符を求め、手渡しで受け取る。列車に乗ると女性のアテンダントさんが乗務している。途中の無人駅で乗車した場合は、この方から切符を買うことになる。地方のローカル線はどこも合理化が至上命題だが、その風潮の中でこういう人間味のあるサービスを継続しているのはすてきなことだ。
撮影に適した場所を意識しながら車窓風景を楽しむ。途中の永平寺口を過ぎたあたりから、のどかな田園地帯になっていい写真が撮れそうだ。勝山に到着のあと、すぐ折り返す列車を撮影し、次の列車で目をつけておいた小舟渡に戻る。川沿いの小駅で特に何もないところだが、列車から見たとき、盛夏の勢いを残す生い茂った夏草が印象的だったので林の中から一枚。
小舟渡〜保田
続いてお次のポイント志比堺駅まで戻る。駅は集落を見下ろす小高い丘の上に建っていて見晴らしがいい。ここでのお目当ては線路ぎりぎりまで切り立った斜面を覆っている木々の緑。
今日は朝、宿を出たときには小雨だったが、途中で雨も上がって雲の多い天気。しかしここに来て陽が差してきた。それとともに急に蒸し暑くなり、歩いていると大汗をかく。
志比堺
志比堺での撮影後は先を急いで今度は轟に向かう。次は田んぼの中を行く電車の撮影だ。轟は降りてみると花壇のあるかわいい駅。この駅もなかなか絵になりそうで魅力的だ。心に迷いが生じたが、いずれまたということにして福井方面に向かって歩く。収穫前の田んぼが美しい。田を渡る風が肌に気持ちいい。山の上には夏雲のようなものがかかっている。9月の今日のような日を、夏の終わりと言うべきか、秋の始まりと言ったらいいのか迷うところだが、田んぼの色を見ていたら、秋の気配を強く感じた。
轟〜光明寺
轟〜光明寺
光明寺〜下志比
気持ちよく歩きながら撮影して下志比に到着。気がつくと2駅分歩いていた。途中でおにぎりのお弁当も食べたし、今日は大人の遠足ですね。自然に触れて、この趣味をやっていて本当に良かったと思う1日だ。
さて福井まで電車で戻って、今夜はバスに乗って名古屋まで。名古屋では父母のお墓参りをしたあとに近鉄内部八王子線、三岐鉄道北勢線を訪ねます。
福井に戻ってバスに乗るまでのつかの間に撮影した、福井鉄道200型連接車。福井鉄道といえば、なんといってもこれでしょう。
はるか昔の高校1年の時に福井を訪れたのも、これが目当てだった。ほとんど僕と同じ年なのだが、今でも現役です。お互いがんばりましょうね。
Canon EOS5DMk2 EF100/2.8 Makro Planar50/2 Panasonic LumixGX1 LumixG14/2.5
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