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2013年2月 7日 (木)

スイスの小さな鉄道 2   ラウターブルンネン・ミューレン山岳鉄道(BLM)   服部一人

ラウターブルンネン・ミューレン山岳鉄道は高い崖の上を走る。ほかの鉄道の駅とも接続していない単独の路線を単行の電車が往復している静かな鉄道だ。グルシャルプ〜ミューレン間、わずかに4.2キロ全線粘着運転でメーターゲージの単線だ。

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茶色とベージュのレトロなツートンがいい雰囲気。ミューレン付近



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始発のグルシャルプ駅は、ベルナーオーバーランド鉄道の終点ラウターブルンネン駅から大型のロープウェイが通じている。実は鉄道の名前にもあるとおり、このロープウェイと鉄道を含めてラウターブルンネン・ミューレン山岳鉄道と呼んでいる。

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ラウターブルンネン駅。左側の駅舎のすぐ裏から、左後方の山の山頂までロープウェイがあり、そこがグルシャルプ駅。



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下がラウターブルンネンの街並み。

ラウターブルンネン・ミューレン山岳鉄道は、
この高い崖の上にある。



谷底のラウターブルンネンからロープウェイで一気に登った山上のグルシャルプ駅には小さな1両の電車が待っていた。ここから尾根沿いに左手にアルプスの山々を眺めながら走る。単行電車の座席に身をゆだね、ガタゴトと揺られる気分はローカル線そのものだ。下界の街には雪はなかったが、ここまで登ってくるとすでにあたりは白く、遠くに見える山もすっかり雪をかぶっている。

ほかの鉄道と接しているわけではなく、路線もたった4キロほどで、単行の電車が行ったり来たりするくらいでまかなえるほどの鉄道需要しかない。ほかの交通機関でもよさそうな、こういうところにも鉄道を敷き現在まできちんと運行しているのは、鉄道好きなスイス人らしいことだと思うが、この鉄道には重要な役目がある。

終点のミューレンは環境保護のため、自動車が原則乗り入れ禁止の静かなリゾートタウンだ。この町で消費される物資のほとんどがこの鉄道で運ばれてくる。ふもとのラウターブルンネンで鉄道からロープウェイのカーゴルームに積み込まれた荷物は、山上のグルシャルプ駅でこの鉄道に積み替えられ、ミューレンの街までやってくる。それゆえ電車は単行だが、たいていは貨車を連結している。それぞれの駅にはフォークリフトを使って効率よく荷さばきができる設備が整えられている。

ミューレンは高い崖の上にある自然条件の厳しい街だが、道路を整備してトラックで運んでくることは不可能
ことではないだろう。しかしあえてそれをせず、環境負荷の低い鉄道を利用している。多少の効率の悪さやコストのこともあるだろうに、この意識の高さにはすっかり感心した。

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単行の電車が小さな貨車を引く姿は、昔々の日本のローカル私鉄でも見られた。なぜか懐かしさを感じる光景。グルシャルプ付近


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沿線は静かな山間で、電車が走り去ったあとには静寂が訪れる。グルシャルプ付近

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ミューレン駅 乗降の合間に黙々と荷さばきが続けられる。

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グルシャルプ駅に留置してあった旧型車。



CanonEOS 5DMk2, 60D, EF17-40/4, EF100Macro/2.8, Distagon35/2, Makro Planar50/2

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