スイスの小さな鉄道 6 ブロネイ・シャンビィ博物館鉄道(BC) 服部一人
電車の合間に汽車も走る。紅葉した山にマレー機が古典客車を引く。言うことなしです。
わずかに霞がかかって遠望がきかないが、彼方にはレマン湖が見えるはず。本日の電車はローザンヌのトラム(1948年)がジュネーブのトラムのトレーラー(1920年)を牽引する。
登山鉄道の話が続いたので、今回は少し趣を変えて蒸気機関車が走る保存鉄道です。
このブロネイ・シャンビィ博物館鉄道は、ジャズフェスティバルで有名なモントルー郊外の丘陵地帯にある。天気の良い日には、かすかにレマン湖も望める風光明媚な土地だ。ここは旅の前から、とりわけ期待の高かった鉄道だ。例によって私の琴線に触れる3題「汽車」「ローカル線」「トラム」がすべて揃っているからである。じっさい期待にたがわぬすばらしい鉄道だった。朝から晩まで楽しみました。わずか3キロの路線ながら、美しい里山の風情の中を走り、短いトンネルにカーブした橋梁と変化に富んでいる。しかし、ここの最大の魅力は、おもちゃ箱をひっくり返したような多種多様な古典車両群にある。
登山鉄道のインターラーケンから特急で3時間弱、前日はフランスに近いローザンヌの街に宿を取った。夜、列車から降りて駅裏のホテルに歩く道すがら、ここはパリの裏町か、と思うほどフランスの香りがした。ドイツ語圏のインターラーケンとはずいぶんと街の雰囲気が違う。スイスは不思議な国だ。
ブロネイ・シャンビィ博物館鉄道は両端の駅が、それぞれ別の私鉄に接続している。田舎にある割にはアクセスのよい保存鉄道だ。もともとは、この両私鉄をつなぐ短絡線だったものを廃止後に買い取って開業したらしい。春から晩秋までの週末のみ営業する。スタッフの中にはボランティアも多いとは、売店でグッズを売っていた、こちらもボランティアのおじさんの話。
ブロネイから乗車した古典トラムは実にいい乗り心地。
2軸単車特有のガタゴト揺れる感じがたまらない。カンカンと鐘を鳴らしながら田園の中を走り、いったんはシャンビィの駅に到着、ここで折り返す形になって
スイッチバックした先が終点のシャウリンだった。
ここは古いもの好きにはパラダイス。ちょうど向かい合う形で二つ車庫があるのだが、この中が博物館。美しい古典車両やレストア待ちの車両がゴロゴロいる。見応え十分なのだが、外では1日10本以上の列車が走っているし、汽車も煙を上げている。そちらの方の撮影がたいへん忙しいので、落ち着いてすべて見学する前に日が暮れてしまった。この鉄道は楽しすぎて1日では足りません。
ブロネイで待っていたのは、京都のN電を思わせる美しい2軸単車だった。これはベルンのトラム(1914年)だそうです。運転手の後ろにかぶりついて、写真やビデオを撮りながら終点のシャウリンまで行きました。あー楽しかった。
スイッチバックの分岐点付近を行く。
シャンビィの近くには林の中を行く区間がある。
本日の汽車105号は、1918年製のBBマレー。模型のようなかわいい編成。
シャウリン構内のはずれの駐泊所。
シャウリンの構内。あちらこちらに古典車両が置いてあって目移りして困ります。
車庫の中はまさにお宝の山。古いもの好きにはたまりません。
こちらのスチームトラムは1900年製。
こちらは1913年製のラック式機関車。
1912年製の蒸気式ロータリー車。もとレイティッシュ鉄道にいたそうです。こんなのがほんとに動くところを見たいなあ。
今回見た中で非常に興味深かったのがこれ。1、2、3等合造車に、さらに荷物室がついている。この鉄道の資料によれば、123等+荷物+郵便 と記載があった。
Canon EOS5DMk2, 60D, EFMacro100/2.8L, 17-40/4L, Makro-Planar50/2, Distagon35/2
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