スイスの小さな鉄道 8 リギ登山鉄道(VRB ARB) 服部一人

山頂リギクルム駅に仲良く並ぶ赤と青の電車。見事な雲海が一面に広がり、海に浮かぶ島のように見える。
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リギ登山鉄道はヨーロッパ最初の登山鉄道だそうである。1871年開通というから140年以上前だ。
その時代にすでにこんな山の上まで鉄道を建設してきたのだから、いや大したものである。
リギ登山鉄道は、実は2つの鉄道から成り立っている。終点はいずれも同じ山頂のリギクルムだが、一方はルツェルン湖のほとりのフィッツナウから出発するのに対し、もう一方はアルトゴルダウから出ている。終点ひとつ手前のリギシュタッフェルからリギまでの間は仲良く並んで複線のようにレールが敷かれている。フィッツナウ方面の電車は赤、アルトゴルダウ方面は青と鮮やかに色分けされている。
今回は両方の路線に乗ってみたかったので、まず往きはルツェルンから船でフィッツナウへ渡り、そこから乗車した。帰りはアルトゴルダウに下山しようという算段である。あいにくと今日は雨降りだ。もう冬に近い季節だからかなり肌寒さを感じる。ふもとでこんなに肌寒いのだから、山頂まで登ったらどれほど寒いだろうかと心配になってきた。防寒着はしっかり着てきたが、せっかく写真を撮りに来たのだから、こんな天気では気分が盛り上がらない。
小雨が降る暗い天気の中、赤い列車はフィッツナウを出発した。2両編成の車内は満員だ。隣の人と肩が触れるくらいに詰めて座る。ぐんぐんと高度が上がっていく中、小雨が霧雨になり、やがて雲の中に突入したらしく、真っ白の何も視界のない世界になってしまった。やれやれ、仕方ないなと思いながら観念して山頂を目指す。
ところがである。やがて霞が晴れて視界が戻ってきたかと思うと、うっすらと日が差し始めた。しめった霧の中を登り、肌寒い思いをしてきたが、日があたるとぽかぽかと暖かさを感じた。お日さまはありがたい。登るにつれてみるみる天気が回復し、リギシュタッフェルに到着する頃には見事な快晴になってしまった。そして眼下には、なんとすばらしい輝くような雲海が広がっていた。
乗客からも歓声があがる。それはそうだろう。フィッツナウを出るときには暗い雨降りで震えていたのだ。こんな快晴は想像すらしなかった。我々は雲の中を抜けて、その上に出たのだ。雲上の世界がこんなに美しいとは思ってもみなかった。登山鉄道では高度差があるので、ふもとと山頂では天候が違うということはあった。しかし、こんなにも劇的な変化は初めての体験だった。
本日はお客さんが多いようで、ご覧のように3列車続行運転。
こちらは少し古い電車と2軸のトレーラー。
こちらは青色の少し古い電車。3灯並んだタングステンライトが美しい。
併走区間を行く赤と青の電車。青い電車の背後がリギシュタッフェル駅。ここから鉄道は2つに分かれる。
ルツェルンの交通博物館に展示してあるリギ登山鉄道開通時のSL.。縦型ボイラーがいかにもクラシックだ。
CanonEOS5DMk2 60D EF Macro100/2.8L EF17-40/4L Makro Planar50/2
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