夏草 富山地方鉄道本線 服部一人
白い花咲く夏草の向こうを地鉄の電車が行く。 愛本~内山
夏は自然の中のあらゆる生命力が大きく躍動する季節だと思う。じっさい夏草の勢いはすごい。その丈の伸ばし方といい、広がる繁殖力といい、強い意志を感じるような旺盛な力だ。
農家の方々にとっては雑草は天敵のようなものだから、この日もあちらこちらで草刈り機のモーターの音が聞こえた。田舎というのは都会よりも湿気が多いような気がする。湿気というより水分と言い換えてもいいかもしれない。アスファルト舗装されていない地表が広がって、土中には水分が詰まっている。
2日前まで雨が続き、今日は雲は多いものの、また朝から強い日差しが照りつけている。地中に蓄えられた水分が強い日差しによって蒸発し、空中にとどまっているような重い湿気を感じる空気だ。
この冬に雪の鉄橋を見に行った富山地鉄。(こちら→http://blog.rail-on.com/2013/01/post-f5ab.html ) あのときは立山線だった。季節が変わり、再び訪れたのは宇奈月までの本線だ。事前に地図を見て、宇奈月に近いあたりまで行こうと決めていた。電車は魚津を過ぎて北陸本線から離れ、右にカーブして内陸に向かう。家並みがだんだんとまばらになり、田んぼが広がってくる。建設途中の北陸新幹線の高架下をくぐる。真新しい白いコンクリートがまぶしい。
車窓から撮影ポイントをうかがう。結局名前にひかれて、まずは愛本で下車した。かつては交換可能で向かい側にはホームの遺構も見てとれる。背後の森が、しだいにホームの跡を飲み込んで森に同化しようとしている。ここで上下2本の列車を撮影したあと、となりの内山まで水を飲みながら一駅歩いてみることにする。
むかし西武鉄道でなじみのレッドアローがやってきた。 愛本
愛本~内山 (開いている踏切から後追いで撮影)
愛本~内山
内山駅の待合室は小さな座布団が敷かれてきれいに掃除されていた。ここで冷たいお茶を飲んで一服。元気を出して交換列車を1本撮影して下立に向かう。下立は目の前に田んぼが広がるすがすがしい駅。風に吹かれて夕暮れまでのひとときをここで過ごす。
富山地方鉄道の駅はなかなか味わい深い駅が多い。内山駅も木造駅舎にアルミサッシではない建具で、無人駅ながら良いたたずまいである。
下立
Canon EOS5DMk2, Makro-Planar50/2, Distagon35/2
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