« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »
ジャワ島中部の町アンバラワには、東南アジアでもここだけというラックレールの急勾配区間がある。
アンバラワにはオランダ植民地時代、駐屯地がおかれ、多くのオランダ人が滞在していた。兵隊や物資の輸送のため、最も近いスマランの港から鉄道建設が始まり、1873年鉄道が完成してアンバラワ駅が建設された。
その後、1970年代初頭に鉄道は廃止になった。しかしインドネシア国鉄有数の山岳路線であったために、アンバラワから2駅先のベドノまでの約9キロ区間が観光用に保存され、この区間専用のラックギアを備えた汽車がグループツアーのチャーター列車を牽引している。
アンバラワ駅は、かつて鉄道の要衝として栄えただけあって、鉄骨の重厚な柱に大屋根が架かった立派な駅である。今では広い駅の構内には風が吹き渡るのみで、閑散として人の往来は見られないが、往事はさぞやと思わせる風格が残っている。
汽車はすでにかわいい客車2両を従えてホームに停まっていた。機関助士が焚き口にせっせと薪を投げ込んでいる。車体のまわりには蒸気が上がり、出発準備が整ったようだ。この時は同好の仲間十数人でツアーを組んで出かけたのだが、思い思いに写真を撮っていた全員が乗車すると、汽笛一声、ガクンと揺れて汽車は静かに走り出した。
小型の客車は木造でクッションのない木のベンチである。長時間の乗車ではお尻が痛くなるだろうが、何ともレトロで味わいあるインテリアだ。ゆったりと腰掛けて乗り心地を楽しんだ。
今回は豪勢にも列車をまるごとチャーターして「フォト・ラン・バイ」である。全員乗車してまず「乗り鉄」を楽しむ。のどかな田園地帯にヤシの葉が茂る、これぞ東南アジアという車窓風景を眺めていると突然、駅でもない小さな鉄橋の手前で停まった。全員、手に手にカメラと三脚を持ってクモの子を散らすように、急いで線路脇の丘に散らばっていく。なんだか軍用列車が敵の急襲を受けて兵隊が退散するみたいな光景である。その間に汽車は一旦バックして再出発、我々がカメラを構える目前を走り去リ、通り過ぎたところで停まる。めでたく「撮り鉄」も終えて全員また乗車、1度で2度おいしいという欲張りな作戦だ。
途中から、いよいよラックレールの始まりである。汽車は十分に減速し、ふたつの歯車を噛み合わせる。一旦停車したあとは、一気に急勾配に挑む全開走行である。歯車が噛み合う激しい振動と音、荒々しい蒸気の排気音が車内にも容赦なく入ってくる。小さな汽車が車体をふるわせ、全身で奮闘することしばし。終点ベドノは、森を切り開いて数本の線路を敷いただけの静かな駅だった。ひと仕事終えた汽車のかん高い汽笛が林の中にこだました。
こちらがラック区間専用機のB25。ピストンが上下2段なので、なかなかメカニカルな外見である。
その2段式ピストンがこちら。上がラック用で、下が動輪。
これがラックレール。なかなかゴツい。
小さな川のほとりで小休止。水をくみ上げて給水中。
ASAHI PENTAX67 SMC PENTAX90/2.8 HASSELBLAD 500CM DISTAGON50/4 KODAKT-MAX400
列車が去った後には・・・長くゆったりとした時間と空間が流れてゆきます。
そこにはいつも、いずれまたやって来る次の列車の予感があるのです。
線路から付かず離れず、そこにある名もない小さな一瞬を見つけては、ささやかなアルバムの1ページを重ねてゆきます。
海風の道
オホーツク海の冷ややかな湿度を含んだ海風が吹きつける。
海辺ぎりぎりを細い鉄路が辿ってゆく。
釧網本線 北浜 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T*
旧駅の灯
軒下に温かな灯がともる頃、名残の夕空はすっかり秋の表情だ。
“駅”を感じる佇まいの駅。
釧網本線 鱒浦 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T*
先月の富山地方鉄道(こちら→http://blog.rail-on.com/2013/08/post-e3ad.html )でも夏草というタイトルだったが、今回もまた同じ。どうも私は、この周囲を覆い尽くすような、旺盛な夏草の勢いを見るのが好きらしい。
この日も残暑というにはあまりにむし暑い一日だった。三岐鉄道は出身地名古屋に近かったので中学生の頃に初めて行った。近所のナローゲージの近鉄や北勢線にはたびたび行くのだが、三岐鉄道は少し地味な存在で近頃ずっと行っていなかった。いまでは珍しい貨物列車もあり、重連電機がセメント列車をひく姿はなかなか力強い。
丹生川周辺の定番撮影地もすばらしいのだけど、あまのじゃくなので、本日は草木が生い茂る雑然とした場所を探してみる。水を飲みながらうろうろと歩き、一服しながら半日写真を撮った。夕方、まだ帰るには少し早い時間だったが、ばてたので退散。でもいくつか秘密のいいポイントを見つけたので、次回にチャレンジ。本日はロケハンということで....。
西藤原〜西野尻
北勢中央公園口〜梅戸井
西藤原〜西野尻
西藤原
上の写真に写っている遠くの黒っぽい物体は、西藤原駅構内に保存してある汽車です。
こんな形で3両保存してあります。貨物鉄道博物館といい、見所もあるので、次回きちんと訪れることにします。
Canon EOS5DMk2, EF24-105/4, FUJI X-E1 FUJINON XF 18-55/2.8-4
福井鉄道福武線。ここは名鉄の旧600ボルト区間の美濃町線、岐阜市内線車両がいて、名古屋出身の私としてはなじみ深い。路面電車と郊外のインターアーバンという路線形態も名鉄と似ている。そして特にお目当てといえば、なんといっても福井鉄道オリジナルの200型連接車。生まれ年が私と近いということもあって何となく愛着がある。湘南顔におでこのライトがチャームポイント。活躍は朝晩のラッシュ時のみ。新型の連接車が投入されたので、この先の存続が案じられる。
夕方の出番が始まる午後3時頃を見計らって、田んぼの中の三十八社駅に降り立つ。やや傾きかけた太陽の光がいい具合に車両側面を照らし出す。風が渡る気持ちのいい青田の脇で撮影。お次は赤十字前に移動して住宅街の裏を走る専用軌道区間、そして道路上の併用軌道区間へと至るあたりで撮影。だいぶ日が落ちて日没寸前だ。最後は福井駅前に分岐する市役所前で折り返す列車を夜景まで撮影。連接の鉄道車両が路面区間を走るのはいつ見てもおもしろい。
福井鉄道名物(?!)のポイントの雪よけシェルターとともに。このツートンカラーは昭和の地方私鉄の雰囲気が色濃く残る。
こちら期待の新型連接車のF1000型(ふくらむ) オーバーハングの長い軸配置で急曲線にも対応。
撮影の合間にやってきたビア電。本当はもう撮影やめて飛び乗りたいところですけど....。 こちらの電車も、面影は薄いが元名古屋地下鉄の車両。
Canon EOS5DMk2, EFMacro100/2.8L, Makro-Planar50/2, FUJI X-E1 FUJINON XF 18-55/2.8-4
朝晩が涼しくなり、凌ぎやすくなってきました。 稲穂の向こうには、エアポート特急「スカイライナー」が時折、通り過ぎていきます。
乗り入れていると解ってはいても、京浜急行の車両を千葉県で見るのは、いつも新鮮です。(右)
2013.8.15 北総鉄道小室-千葉ニュータウン中央間
使用レンズ:16-35mm・24-70mm・70-200mm
ここ北総鉄道は、昭和54年3月に北初富-小室間が先行開業し、新京成の車両が乗り入れを始めました。この年の夏、買ったばかりの24mmを持って、初めて小室へ訪れたのが昨日のことのように思い出されます。
真新しい小室駅に停車中の昭和21年製のモハ220形。ヘッドライトがシールドビーム化された晩年の頃・・・。(写真右)
小室から先、印西方は、まだ建設中だった。(写真左)
撮影 1979.8.17 Canon EF FD24mm F2 ・ FD50mm F1.4 TX
今年も夏が去ってゆきました。私にとって8月31日は、未だに1年で一番寂しい日です。
あんなにうっとうしかった猛暑が、まだ完全に終わったわけでもないのに、気持ちだけは過ぎてしまった夏・・・
夏の終わりは暑さと一緒に、楽しかった思い出までもさりげなく持ち去ってしまうのでしょうか。
夏の忘れもの
雪国は冬休みが長い分、夏休みは早く終わる。
猛暑だったあの日、朝の光に通学生の白いワイシャツが輝いていた。
只見線 会津坂下 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
二人の夏
稲の花が咲くと、何ともいえない芳ばしい匂いが鼻をかすめる。
おじいちゃんと二人でみた古いディーゼルカーの記憶と共に、夏休みは静かに去ってゆく。
大糸線 頸城大野-姫川 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T*
最近のコメント