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2013年9月27日 (金)

南洋のラックレール インドネシア国鉄 ジャワ島 アンバラワ〜ベドノ   服部一人

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ラック区間を行く列車。

 

 ジャワ島中部の町アンバラワには、東南アジアでもここだけというラックレールの急勾配区間がある。

 

 アンバラワにはオランダ植民地時代、駐屯地がおかれ、多くのオランダ人が滞在していた。兵隊や物資の輸送のため、最も近いスマランの港から鉄道建設が始まり、1873年鉄道が完成してアンバラワ駅が建設された。
 その後、1970年代初頭に鉄道は廃止になった。しかしインドネシア国鉄有数の山岳路線であったために、アンバラワから2駅先のベドノまでの約9キロ区間が観光用に保存され、この区間専用のラックギアを備えた汽車がグループツアーのチャーター列車を牽引している。

 


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アンバラワ駅は、かつて鉄道の要衝として栄えただけあって、鉄骨の重厚な柱に大屋根が架かった立派な駅である。今では広い駅の構内には風が吹き渡るのみで、閑散として人の往来は見られないが、往事はさぞやと思わせる風格が残っている。

 汽車はすでにかわいい客車2両を従えてホームに停まっていた。機関助士が焚き口にせっせと薪を投げ込んでいる。車体のまわりには蒸気が上がり、出発準備が整ったようだ。この時は同好の仲間十数人でツアーを組んで出かけたのだが、思い思いに写真を撮っていた全員が乗車すると、汽笛一声、ガクンと揺れて汽車は静かに走り出した。
 小型の客車は木造でクッションのない木のベンチである。長時間の乗車ではお尻が痛くなるだろうが、何ともレトロで味わいあるインテリアだ。ゆったりと腰掛けて乗り心地を楽しんだ。

 今回は豪勢にも列車をまるごとチャーターして「フォト・ラン・バイ」である。全員乗車してまず「乗り鉄」を楽しむ。のどかな田園地帯にヤシの葉が茂る、これぞ東南アジアという車窓風景を眺めていると突然、駅でもない小さな鉄橋の手前で停まった。全員、手に手にカメラと三脚を持ってクモの子を散らすように、急いで線路脇の丘に散らばっていく。なんだか軍用列車が敵の急襲を受けて兵隊が退散するみたいな光景である。その間に汽車は一旦バックして再出発、我々がカメラを構える目前を走り去リ、通り過ぎたところで停まる。めでたく「撮り鉄」も終えて全員また乗車、1度で2度おいしいという欲張りな作戦だ。
 途中から、いよいよラックレールの始まりである。汽車は十分に減速し、ふたつの歯車を噛み合わせる。一旦停車したあとは、一気に急勾配に挑む全開走行である。歯車が噛み合う激しい振動と音、荒々しい蒸気の排気音が車内にも容赦なく入ってくる。小さな汽車が車体をふるわせ、全身で奮闘することしばし。終点ベドノは、森を切り開いて数本の線路を敷いただけの静かな駅だった。ひと仕事終えた汽車のかん高い汽笛が林の中にこだました。



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こちらがラック区間専用機のB25。ピストンが上下2段なので、なかなかメカニカルな外見である。


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その2段式ピストンがこちら。上がラック用で、下が動輪

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これがラックレール。なかなかゴツい。

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小さな川のほとりで小休止。水をくみ上げて給水中。


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