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前回はおでこの丸い3500型を取り上げたので、(こちら→http://blog.rail-on.com/2013/10/post-db14.html ) 今回は特急電車の数々を。
長野電鉄オリジナルの有名な2000型特急は、こちらもおでこの丸みにライトがチャームポイント。ぶどう色とリンゴ色の2編成があったが、おでこの丸さがより強調されて可愛いのは、リンゴ色のツートンかな。
2000型特急がまもなく廃止になると聞いて、撮影に行った冬の終わりのある日、長野駅で名物の「お焼き」を買ってから100円の特急料金を払って、もと小田急1000型「ゆけむり」に乗車し、終点湯田中に向かう。車内でのんびりと景色を楽しみながら食事。車内で食べるご飯はいつもおいしい。湯田中駅は現在の駅舎で2代目だそうだが、初代も現存して入浴施設になっている。こちらは小さいながらも落ち着いた雰囲気の終着駅にふさわしいたたずまい。往事は志賀高原や地元湯田中温泉への観光客で賑わったであろうことが想像される。
小雨の降る肌寒い天気だが、駅を出て夜間瀬方面に歩く。すでに収穫の終わったリンゴ畑の脇でやってくる電車を撮りながら、有名な鉄橋で「ゆけむり」とぶどう色2000型を撮影。そのあと信濃竹原駅まで歩いた。この駅は無人駅だが、木造駅舎に貨物取り扱いホームの跡などが残り、味わい深い。駅のまわりで何本かの列車を撮って長野に戻った。長野駅では地域の農産物を売っている。ささやかな売り上げ貢献にと、シイタケを一袋買って新幹線に乗り込んだ。
モノトーンの風景の中に、この赤白ツートンはなかなか不思議な取り合わせだ。 夜間瀬〜信濃竹原
夜間瀬〜信濃竹原
ぶどう色の編成も、こういう風景の中でみるとよりいっそう渋さが増す。 夜間瀬〜信濃竹原
信州中野
CANON EOS5D2, EF17-40/4L, 24-105/4L
写真は光がなくては写らない。写真にはたとえ一瞬であれ、時間が凝縮されて写っている。そして写真には音がない。
日頃、高度に進化したカメラを使って、たくさんのシャッターを押していると、写真が成立する根本要素を考えるひまもない。シャッターを押した次の瞬間には、モニターに、つい先ほどまで現在だった過去の映像が浮かび上がり、慌ただしく結果をチェックする。シャッターを押してから映像ができるまでのプロセスに想いをはせることもなくなった・・・。
今回の鉄道記念日特別企画のテーマを皆で考えている時に、はじめは雑談のような話の中から、そのうちキーワードになりそうないくつかの言葉が出てきた。鉄道写真を撮り続けている中で、普段意識はしないにしても、基本的な要素に立ち返って取り上げてみるのも悪くないかもしれない。
そして、せっかく基本的な要素をテーマに据えるなら、いつもとはちがった制約や条件を設定してみるのもおもしろいかも、といった具合だ。
かくして、
*「時」 : 1秒、またはその前後のスローシャッター。
*「光」 : 逆光、または半逆光、順光は決して用いない。
*「音」 : 写真には音は写らない。というテーマの設定が決まった。
このうち「時」と「光」は写真の成立要素だが、「音」はそうではない。どうせ少し困難な条件をつけるなら、写真には写らない「音」を感じさせるような瞬間をとらえるというのも、やり甲斐があるかと思って付け加えたのである。
できあがった結果がどうであるかはご覧いただくしかないのだが、 私たちとしては、多少実験的な行為をしてみるかという気持ちもあった。 何十年も鉄道写真を撮っていると、おのずと自分の作風というものができてくる。撮影手法にしても自分のスタイルというものを常套的に使っていることも多い。それが本人の個性だから悪いことではないのだけれど、
好きなものを好きなように長年撮っていると、たまには違ったことをやってみたくなるということかもしれない。
写真の基本的な要素を、いくら考えたところですぐに写真が上達するわけではない。 でも、まぁ、ここは 「現代鉄道写真研究所」という、たいそうな看板をかけてやっているところなので、これでもたまには「鉄道写真」のことをまじめに研究しているんですよ。
なーんてね。
名古屋に住んでいた子供の頃、冬休みになると妙高高原、関温泉などの信越沿線のスキー場に連れて行ってもらうのが楽しみだった。特急しなのに乗って長野駅に到着すると、接続する各停に乗り継ぐために1時間くらい待つことがあった。
そんなときには、途中下車してすぐ横から出ていた長野電鉄の電車を見に行くことが多かった。当時の長野電鉄長野駅はまだ地上にあって、古い電車の出入りを眺めていたものだ。おみやげに大型の入場券や記念乗車券などを買って、これは今でも手元にある。
そんな時代からはや数十年の時が流れて、再び長野電鉄に通うようになったのは、名車の特急2000型電車がまもなく廃止になるという頃からだった。それ以降、屋代線が廃止になるあたりまでたびたび訪れて沿線を歩いた。お目当てはもと日比谷線の3500型電車。おでこの丸い造形とステンレスの地肌の質感との組み合わせが魅力的だった。
最近になって信州中野に行くことがあった。ここは私も使っている、かのカールツアイスを製造するコシナがあるところだ。帰りに長野駅に向かう電車はこの3500型。すいた車内で乗り心地を楽しんでゆったりと戻ってきた。
上から、信濃川田、信濃竹原、象山口、信州中野
CANON EOS5D2, EF17-40/4L, 70-200/2.8L, 24-105/4L
10月14日より鉄道の日記念企画を開催します。
稲が芳ばしく香り、黄金色に輝き、そしてたわわに実りました。
今年も猛暑に負けずに豊作です。
只見線は相変わらず会津川口-只見間の不通が続いていますが、復旧に向けて少し明るい兆しがみえてきました。財政支援を検討していた福島県が、復旧に必要な資金を積み立てるための基金の設置を検討しはじめたようです。
また、只見町が、ユネスコのエコパーク登録申請をし、来年度認証される見通しです。
かけがえのない自然の中を走る只見線を、是非これからも見守りたいと思います。
棚田より秋を想う
丘に続く細い道を急ぎ足で昇ってゆくと、少し息が切れてきた。
振り返ると、段々に彩られた黄金色の穂波の向こうに、小さく線路が見えた。
只見線 入広瀬-上条 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
おはよう
実りの秋を迎えた田んぼの彩りが、朝の光を和らげる。
秋風に乗って、かすかに黄色い笑い声が聞こえてきた。
只見線 薮神 HASSELBLAD 500CM Planar CF 80mmF2.8 T*
10月14日より鉄道の日記念企画が始まります。
乞うご期待!
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