ベルリン中央駅 服部一人
上段の東西のホームはガラス張りの大きなドームが覆い、光がさんさんと降り注ぐ明るい駅だ。
ベルリン中央駅は東西ドイツの統合後にできた新しい駅だ。かつて冷戦時代にベルリンが東西に分かれ、まだ壁があった頃は、西側の長距離列車が発着する主要駅は、ベルリンツォー(動物園)駅だった。
この中央駅があるあたりは、冷戦時代は東西の国境に近い場所で、緩衝地帯として建物もまばらな閑散としたところだった。統合後に南北に走る路線を新設して、もともとあった東西の路線と交差する形で新駅が作られた。ベルリンは歴史のある町なので市内各駅は重々しい雰囲気の駅が多いが、ここは統合の象徴としてモダンなガラス張りの外見を持っている。
まだベルリンが東西に分かれていた頃、西側の華やかな町から電車に乗って東側に行くと、町の灯りが少なくなり、質素で地味な雰囲気がただよい、町を歩いているだけで、東西の体制の違いを肌で感じることができた。今でも旧東側地区へ行けば、そうした雰囲気の名残はいくらかあるけれど、昔のような東西の鮮明な違いを感じることは難しい。
ベルリンの駅といえば、フリードリッヒ・シュトラーゼ駅も思い出深い。ここはかつて東西の国境があった駅で、当時僕は西側のホテルに宿泊しながら、ここを通って電車で東ベルリンを見物に出かけていた。けっこう厳しいチェックポイントがあり、荷物の中味を調べられたりしたものだ。そのフリードリッヒ・シュトラーゼ駅も今はこぎれいな感じになって、かつての重苦しい雰囲気はない。すべては、もう昔々のことなのだ。
ベルリン中央駅の外観。地下に新設された南北の路線が走り、2階に東西の路線が交差する。1階部分はいわゆるコンコースで、両側の駅ビルはショッピングセンターになっている。
頻繁にICEなどが発着するベルリンの主要駅となった中央駅。ガラス張りのドームと吹き抜けで、地下ホームも明るい。
ベルリンには、国電に当たるSバーンも走っている。自転車と犬は持ち込み自由で、よく車内で見かける。うらやましい限り。
かつては何もない場所だったところなので、駅の周囲は再開発の工事が進む。数年後に訪れたら、また景色が一変していることだろう。
CANON EOS5DⅡ 24-105/4L
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アメリカのニューヨークやロスザンゼルス、ヨーロッパ各国へ行ったことがない
私にとって、先進国の、○○中央駅と言う響きには、なぜか縁遠い
気がしてましたが、五枚組写真、いいですね。
投稿: k.iwamatsu | 2014年1月13日 (月) 00時04分
k.iwamatsu 様
こんにちは。ベルリンは、なにしろまだ壁があった頃に行ったことがあるので、当時と今の変貌ぶりを見ると感慨深いものがあって、思い入れのある都市です。ここはまた鉄道趣味にとっても魅力的な場所で、Sバーン(国電)、地下鉄、東側に広がる長大なトラム網など、今後きちんと撮影したいものがたくさんあります。ヨーロッパの駅は大きなドーム状の屋根や、行き止まり式ホームなど、被写体としても絵になる駅が多く、ただの駅撮りでもけっこう楽しめます。
投稿: ハットリ | 2014年1月13日 (月) 17時56分