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薄暗いボストンロッジの庫内でたたずむ蒸気機関車たち。静かに吐き出された蒸気が車体を包むようにただよう。
ウェールズ地方とフェスティ二オグ鉄道
ポートマドック駅とボストンロッジ周辺の路線概念図。
ボストンロッジと夜の撮影会
フェスティ二オグ鉄道にはボストンロッジワークスという工場があります。ちょうど始発駅のポートマドックから入り江の堤防を渡ったところに扇状に広がる施設です。ここは全英の保存鉄道の中でも有数のもので、もはや単に機関庫とはいえない規模と能力を持っています。フェスティ二オグ鉄道のみならず、接続するウエルシュ・ハイランド鉄道の車両も含めた保守整備をはじめとして、機関車を新製するほどの技術があります。
この鉄道を支える要となる大工場であり、フェスティ二オグ鉄道が保存鉄道として復活した1955年に最初に開通したのも、ポートマドックからこのボストンロッジまででした。当時は駅があったのですが、現在は小さなホームは残るものの、通常の列車はこの駅に停まらず通過します。
現在のボストンロッジワークスのようす。いちばん左の線路はブラウナウ・フェスティ二オグに続く本線。
イベント中は普段は動かぬ汽車にも火が入って、ボストンロッジワークスは一段と活気があふれる。
このボストンロッジ駅に隣接したところにフェスティ二オグ鉄道が最初に開通した19世紀に建てられた、初代のボストンロッジ機関庫が現存します。石造りの小ぶりな2線の機関庫です。今回のイベント中、この古い機関庫を使って夜間の撮影会が開かれました。参加希望者は撮影会用の特別な料金を払ってチケットを買います。
案内された機関庫の中は狭いながらも石造りの重厚な雰囲気があり、木造のりっぱな梁が目を引きます。撮影会は日暮れとともに始まり、3時間ほど開催されました。入れ替わり立ち替わり集まったファンは5、60人以上はいたと思います。特段ロープなどで規制しているわけではないですが、ほとんどのファンは互いに邪魔にならないように静かに粛々と撮影しているという印象でした。
古い機関庫という格好のステージを背景に、オールドタイマーたちを撮影して、とても思い出深い一夜となりました。
右側の2線車庫がオリジナルのボストンロッジ機関庫です。現在は普段は使われていません。
撮影会のボストンロッジ機関庫までは、ポートマドックから特別列車のシャトルトレインに乗って移動します。前後にリンダとブランシェが連結されたプッシュプルトレインで、すでに撮影会に行く前から気分が盛り上がります。
撮影会の途中で行われたコスプレのサービス。19世紀当時の衣装に身を包んだ運転手や鉄道スタッフが汽車の横でポーズをとります。日本では画面の中に人物が入ることが嫌われる傾向が強いですが、見ているとけっこうまわりのカメラマンは熱心にシャッターを押してました。
これがイギリスの鉄の人々です。若い人もいますが、全般に年齢層はやや高めでしょうか。洋の東西を問わず、ファンやマニアが発するオーラは十分感じるので、皆さん熱心な方々だと推察しますが、日本と比べると軽装備です。自分は背負うカメラバッグにカメラ2台をぶら下げ、ジッツオの三脚を持って参加しましたが、そんな姿が目立ってしまうほど、物々しい重装備のファンはごく少数派です。
イベントの最終日、最後の特別列車がポートマドックに向かって出発していく。次第に夕闇が迫る駅で、車内の電灯の光が心に残った。 ミンフォード駅にて
CANON EOS 5DMkⅡ, 60D, EF70-200/2.8L, 17-40/4L, EF Macro100/2.8L, Makro-Planar50/2, Distagon35/2
あんなに賑わっていた桜と菜の花の季節が過ぎ去ると、房総の小さな鉄道はすっかり静けさを取り戻します。
これから梅雨入りまでのしばらくの間は、瑞々しい緑と長い陽射しで、一年中で一番明るいひとときなのです。
小さな花園
五月の少し強めの爽やかな風が、フランスギクを踊らせる。
濁りのない澄んだ空気が一段と明るくなる。
小湊鉄道 上総牛久-上総川間 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
五月の風
列車が去った後の、静かでゆったりとした時間が好きだ。
これからますます陽は長くなり、五月の風が夏への期待を運んでくる。
小湊鉄道 上総川間 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
紺碧模様
鏡のように張り詰めた田んぼが、一枚一枚深い青味を湛えている。
里の模様はこれから日々ゆっくりとその趣を変えてゆくことだろう。
小湊鉄道 月崎-上総大久保 HASSELBLAD 201F Sonnar C 250mmF5.6 T*
ボストンロッジ駅を通過するリンダとブランシェ。
ウェールズ地方とフェスティ二オグ鉄道
リンダとブランシェ
バラエティ豊かな機関車を見ることができるのも、フェスティニオグ鉄道の大きな楽しみなのですが、一目見て気に入ってしまったのが、この可愛らしい2両のサドルタンクテンダーです。グリーンの塗装も初々しい2両はそれぞれリンダとブランシェという素敵な名前が付いています。すっかりレストアされてきれいな姿ですが、共に1893年製造の優に120歳を超えるオールドタイマーです。もともとは近隣のスレート鉱山で働いていたものですが、当時はBタンク機関車だったそうです。1962~63年にフェスティニオグ鉄道が購入後、大規模なレストアを施し、軸配置を1Bとして小さなテンダーを付けて現在の姿になったのです。キャブとテンダーのデザインが2両で微妙に違っていますが、どちらももとからテンダー付であったように、整ったバランスの美しい機関車です。
この日はスペシャルイベントの列車を重連で牽引します。1台だけでも十分可愛いですが、2両揃って力を合わせて走る姿は、小型ながら奮闘する迫力満点。愛らしさにあふれています。
タン・イ・ビルシ駅に到着後、給水、火床整理、さらにこれからの勾配に向けて蒸気圧を上げます。
タン・イ・ビルシ駅を発車するリンダとブランシェ。客車の編成は長く、重連といえども発車には力がいります。当初2両のタイミングが合わず、激しい空転が始まる。やがて息が合い、リズムのいいドラフト音が森の中に消えていきました。
ブラウナウ・フェスティニオグからの帰り道、軽やかに下っていく重連。チョコマカとロッドを動かす姿が模型のよう。
ボストンロッジの機関庫の脇を行く重連。
プッシュプルトレインの後補機をつとめるブランシェ。
ループを行く列車
ループに向かって登ってくるダブルフェアリー「MERDDIN EMIRYS」号。
フェスティニオグ鉄道にはループ線(イギリスではスパイラルと呼んでいる)があります。ドゥアルト駅をぐるっと一周するように回って勾配をかせぎます。保存鉄道になる以前の昔のフェスティニオグ鉄道にはループ線はなく、この区間は別のルートを走っていました。保存鉄道として終点のブラウナウ・フェスティニオグを目指して路線の伸延工事をしていた1970年代、この近くに水力発電所があり、その貯水池のためにオリジナルのルートは水没していました。あらたに迂回するルートが必要となり、建設されたのがこのループです。多くのボランティアが建設工事に携わったといいます。この鉄道に限らず、保存鉄道は熱心で献身的なボランティアによって支えられています。
このループ線があるドゥアルト駅は列車は停車しません。事前に乗客のリクエストがあった場合、または駅に乗客がいた場合のみ停車します。ここでぜひとも撮影したいと考え、最寄りの道路脇の駐車場に車をとめて山道を1時間半ほど登りました。この道はハイキングコースになっており、途中、私有地の牧草地などを横切ります。その際には出入口の柵を自分で開け、また必ず閉めます。機材を背にして汗をかきながら登ったドゥアルト駅は、まわりに民家の一軒も見当たりません。周囲は森と牧草地だけです。山中の小駅、日本で言えば秘境駅というところでしょうか。列車が停まらない理由が納得できました。レイルファンとハイカー以外には用の無い駅です。夕刻までの数時間を過ごしましたが、ここは一日いても飽きないと思いました。ループの周辺に良いポジションがいくつもあり、変化のあるアングルが楽しめそうです。苦労して登った甲斐があり、印象に残る場所となりました。
ループ全景。右端の白い鉄橋がループの交差部分。ポートマドックから登ってきた列車はこの下をくぐり、左の大木の脇のドゥアルト駅に進入する。さらに左からぐるっと後ろを回って右側の線路を上ってくる。
ちょうどループ全体を眺める小高い丘があり、小さな汽車がループをゆっくりと登ってくる模型のような情景が楽しめます。夕刻迫る頃、列車が来る時間にまだ日差しが残っているか、落ち着かない気分で待ちました。風が強く激しく、流れる雲に太陽は隠されて日が陰ってしまいましたが、力行してくる汽車を撮影して満足でした。
最後は、雄大な背景の空に美しい夕焼けが見られて感激です。古典客車をずらりと連ねた編成が実に見事です。
ビンテージの客車群
スペシャルイベントの特別列車なので、普段は使われない客車が多数使用されます。機関車に負けず劣らず、これらのオールドタイマーも実に魅力的です。レンガ色の客車は1885年の物を1991年にフルリビルトした3等車。
19世紀の客車を模して2007年に新製された3等車。
こちらも共に1863年製造の客車を1980~90年代にフルリビルトした可愛い1等車。
1879年製の1,2,3等合造車。2008年フルレストア。
こちらは車掌室が外に飛び出した荷物車。この窓から安全確認したそうです。荷物室の他にお犬さま用の部屋まである楽しい車両。
CANON EOS 5DMkⅡ, 60D, EF70-200/2.8L, 17-40/4L, EF Macro100/2.8L, Makro-Planar50/2, Distagon35/2
会津盆地から奥会津を経て越後平野に下ってゆく只見線は、その道中、半月ほどの季節の変化が楽しめます。
鶴ヶ城が既に葉桜になり、柳津が落花盛んな頃、只見ではまだ桜が満開、越後の山里ではフキノトウが芽を出しているのです。
春の足音
レールを縁取る線路脇には沢山の春が詰まっている。
そこには去っていった列車の余韻がまだ残っている。
只見線 入広瀬-上条 HASSELBLAD 201F Planar CF 80mmF2.8 T*
清らかに
雪が解けた後は季節の変化がめまぐるしい。
田んぼに水が張られると、一気に緑の季節へと進んでゆく。
只見線 入広瀬-上条 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
遠い春
列車が来なくなって3度目の春がきた。
忘れ去られたような空間にも季節はめぐりくる。
只見線 会津蒲生 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
スペシャルイベント「スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド」の列車たち。
上/フェスティ二オグ鉄道の機関車にはすべて名前が付けられています。B型サドルテンダーの2号機。その名も「PRINCE」 フェスティ二オグ鉄道が蒸気機関車を導入した1863年製造です。普段は乗り入れないウエルシュ・ハイランド鉄道で特別列車を牽引します。
中/B2サイドタンク9号機「TALIESIN」 マッチ箱のような古典客車をひいて走ります。
下/「BLANCHE」と「LINDA」 どちらもグリーンの塗装がよく似合う、可愛いハンスレ製の1Bサドルテンダー。
スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド
前回まで紹介したウエルシュ・ハイランド鉄道も、沿線の自然の美しさ、ガーラットの魅力などですばらしい保存鉄道なのですが、このフェスティ二オグ鉄道も負けず劣らず魅力的です。走る車両の多彩さでは、こちらの方に分があるかもしれません。いままで訪問を熱望し、今回の旅行でもっとも楽しみにしてしていたのは、このフェスティ二オグ鉄道です。
ウエルシュ・ハイランド鉄道との接続駅であるポートマドックを起点に、もとスレート(石板)鉱山があったブラウナウ・フェスティ二オグまでの21キロ。ゲージはウエルシュ・ハイランド鉄道と同じく597ミリ。線路は山に向かって、ほぼ一方的な上り勾配が続きます。
ウェールズ地方とフェスティ二オグ鉄道
スレートはウェールズ地方の特産品のひとつで、建材としての需要が高いものです。このあたりをドライブしていると、屋根瓦として、また家の塀や道路のガードレール代わりなどによく見かけます。かつてはウェールズ地方にはスレート運搬用の鉄道がいくつもあり、このフェスティ二オグ鉄道もそのひとつでした。開通当時は貨物専業で旅客輸送はなく、山で取れたスレートは小さなトロッコに積まれて、自重でポートマドックまで下っていました。山へ帰るときには馬がひいたそうです。
開通当時のスレート運搬列車を模した特別列車。こうしてトロッコに人が座りブレーキ操作をしながら山からポートマドックまで下ってきたそうです。これはなかなか楽しそう。ぜひ乗って操作してみたい。
ブラウナウ・フェスティ二オグに飾ってあった、実にキュートなDLとトロッコ。
この鉄道が有名なのは、数あるイギリスの保存鉄道の中でも2番目に古い鉄道ということです。保存鉄道になる前のフェスティ二オグ鉄道は、1836年に開通といいますから、これもかなり古い方です。110年後の1946年に事実上の廃止。しかし廃止直後から保存復活に向けての運動が立ち上がり、1955年、ポートマドック~ボストンロッジが復活。わずかひと駅だけの短い区間ながらもイギリス2番目の保存鉄道としてスタートを切ります。
その後、不断の努力によって1982年、終点のブラウナウ・フェスティ二オグまで開通。線路がつながっているウエルシュ・ハイランド鉄道の車両もボストンロッジの機関庫でメンテナンスをしており、両鉄道は非常に深い関係にあります。ホームページなども共通で、特別な日には列車の乗り入れも行われています。このふたつの鉄道は、いま全英の保存鉄道の中でも非常に意欲的で活発な鉄道として注目されています。 ポートマドック駅周辺の路線概念図。ポートマドックと次のボストンロッジ間は、入り江を仕切る堤防のような細い築堤の上を行きます。
保存鉄道には年に何回か、ガーラと呼ばれるイベントデーがあります。こうしたときに訪れると普段は見られない特別列車が走って、とても満足感の高い一日を過ごすことができます。
今回、僕がお目当てに選んだのは「スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド」と呼ばれる記念イベント。これはフェスティ二オグ鉄道が1863年に、それまでの馬をやめて蒸気機関車を導入してから150年目に当たるということで企画されたものです。当時のビンテージ物の車両が走り、また乗務員も昔のコスチュームで乗務するなどいろいろと趣向が凝らされています。
「スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド」のチラシ。
ポートマドックは瀟洒な別荘やヨットハーバーもある小さな港町。
列車が推進運転で入線してきました。
今朝1番の列車は、フェスティ二オグ鉄道名物のダブルフェアリー(双頭型)「MERDDIN EMIRYS」号。こちらはもとは1879年の製造ながら、近年ボストンロッジにて、ほぼ新製に近い車体更新がなされています。
ポートマドック駅舎のカフェは、すぐ間近で列車が眺められて特等席。でも汽車が通るたびに浮き足だって、落ち着いて食事ができません。客車は古いタイプのものから近年製作されたものまでいろいろ。ワンちゃんも運賃を払って、一人前のお客。
タン・イ・ビルシ駅に進入する「MERDDIN EMIRYS」号。駅の小屋も実に可愛らしい。
タニィリシュのS字カーブを登ってくる列車。
今日一日のさまざまなイベントが終わり、ボストンロッジにの車庫に帰る汽車。お疲れさまでした。
CANON EOS 5DMkⅡ, 60D, EF70-200/2.8L, 17-40/4L, EF Macro100/2.8L, Makro-Planar50/2, Distagon35/2
ベドゲレードを出た列車は、ふたつの大きなオメガループを描いて勾配を登って行きます。このあたりは樹林の中を走っていて、全体を俯瞰できるようないいポジションが少ない。並行する道路もまともなものがなくて苦労しました。地図を頼りに林道のような道を恐る恐る進んで、やっとこさ線路脇に出ました。見通しはきかないけど勾配があって、しばらくしてガ-ラット特有の歯切れのいいブラスト音が聞こえてきました。それにしてもガーラットは正面がちに撮ると、炭水車だけが目立ってしまってなかなか絵になりません。
リド・ジーに停車中の列車。ここからいよいよスノードン山麓の勾配区間にさしかかります。
リド・ジーを出た列車はスノードン山の山裾を走ります。スノードン山はウェールズ地方1番の高さを持つ山ですが、1085メートルの標高でそれほど高い山とはいえません。しかし山麓には荒涼とした山肌が広がり、独特の景観を作っています。荒々しい岩肌に木々の少ないこのあたりは遮るものもなく、ときおり強風が吹いて汽車の煙もあおられます。雲の動きも激しく、つかの間、陽が差したと思ったら、すぐ陰り雨が降り出しそうな暗い空に変わる。カメラを構えて線路際に立つ者にとっては、気が気でない天候です。
堂々10両編成の列車は、地形に沿って敷かれた線路を右に左に蛇行しながらゆっくりと走って行きます。
山肌にへばりつくような山岳区間を過ぎると、ふたたびウェールズ地方の里山の風景に変わります。農場や牧場が広がる中をゆったりと走ってワインファウルに向かいます。
終点カーナーフォンに到着し、機回しをする138号。列車はこのあと車庫のある隣のディナスまで回送されて行きます。
ウエルシュ・ハイランド鉄道は1872年に現在のルートで計画され、当初沿岸部のディナスから建設が始まりました。しかしスノードン山麓の山越え区間の工事が非常に難航し、1881年に山越えの途中駅のリド・ジーまで建設したところで工事は止まります。やっとポートマドックまで全通したのは1923年。40年以上も後のことになりました。しかし世の中はすでに移り、自動車の時代がやってきていました。同区間を結ぶバスに客を取られ、苦労して全通したわずか14年後の1937年にウエルシュ・ハイランド鉄道は全線廃止になってしまいます。
廃止後長らく放置されたままでしたが、保存鉄道の機運が持ち上がり、1960年代から手始めにポートマドック側の1キロほどの短い区間が開通します。それからしばらくは進展がありませんでしたが、1997年に反対側のカーナーフォン~ディナスが復活しました。この時は開通祝賀列車としてプルマンを含む5両編成の記念列車が走ったということです。今後開通する山越えの区間のために、南アフリカからガーラットが導入されたのもこの頃です。
さらに2003年にはディナスからリド・ジーまで延長されます。残りの区間が開通し、ついにカーナーフォン~ポートマドック間がつながったのはごく最近の2011年4月のこと。念願の全通に向けての絶えまざる地道な努力の結果、全長約40キロのイギリス保存鉄道の中でも最長の鉄道ができたのです。今でも駅には全通を祝う「COAST to COAST」と書かれたポスターが貼ってあります。
まさに不屈の精神で復活したウエルシュ・ハイランド鉄道ですが、これで完成、めでたし、めでたしというつもりではないようです。この鉄道のホームページには次のような、まことに力強い言葉が書いてあります。
「線路はつながったが、鉄道は完成からはほど遠い。駅を直し、新しい客車を作り、ハーバーステーション(ポートマドック駅)の大規模な改修工事など、終わりのないタスクのために時間と努力とお金を費やす。我々の鉄道に終わりはなく、皆さんの助力によって全英のみならず、世界最高峰の保存鉄道の地位を保ち続ける。」
カーナーフォンを出発する列車。背景に世界遺産の古城を眺め、やわらかい夕日が汽車を照らす。
CANON EOS 5DMkⅡ, 60D, EF70-200/2.8L, 17-40/4L, EF Macro100/2.8L, Makro-Planar50/2, Distagon35/2
TGVランドスケープ Perpignan⇒Gare de Lyon
先月15日にご覧いただいたTGVランドスケープに引き続き、復路をご紹介したい。
後ろ髪を引かれる思いで、ポール・モーリア氏の別荘(写真左)を後にした私たちは、再びTGVの乗客に・・・。
生前ポール氏は、のどかなこの道を愛車BMWを走らせ、近くに新聞やタバコをよく買いに行っていたそうだ。(写真右上)
ここペルピニャンは、もともとスペイン領カタルーニャ地方の一都市だったため、フランス語とカタルーニャ語の文字が併記されている独特な街だ。(写真右下)
ペルピニャンを定刻の17:51に発車したTGV9706は、パリ リヨン行きの直行便だ。列車はすぐにサンセットタイムを迎え、辺りは黄金一色に染まりはじめる。来る時とはまったく別世界だ。
車窓に広がるこの雄大な景色を、うまく表現できる言葉が見つからない。いくら撮っても、カメラのモニターからはその感動が伝わってこない。
もどかしい思いに駆られながら日没とともにカメラをたたみ、座席に着いてゆっくりと、飛ぶように流れてゆく南フランスの景色を楽しむことにした・・・。
撮影:2014.2.17 Nikon Df 16-35mm 24-70mm
東京では花見の喧騒がすっかり忘れ去られ葉桜の緑が眩しくなる頃、桜前線は北国へと上り続けます。
山深い只見線沿線は福島県・新潟県の中では開花が遅い方で、毎年ゴールデンウィークの頃が見頃となります。
雪国では雪解けとともに駆け足で春がやってきますが、暖かな陽射しと浅い緑の中に咲き誇る桜は、濃密な美しさがあるのです。
昨年は各地でウソ(鳥)が桜の蕾をついばみ、花がまばらで寂しいものでした。冬の餌の関係でしょうか。
さて、今年は・・・
花道の通学路
新学期もすっかり落ち着いた頃にようやく桜が満開になった。
陽射しは既に初夏のように強く明るい。
只見線 会津坂下 HASSELBLAD 201F Sonnar C 150mmF4 T*
花隧道
冷たい春風に吹かれて山峡の桜が揺れている。
風雪に耐えながら咲き続ける雪国の桜は、逞しく、花の密度が濃い。
只見線 会津宮下-早戸 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T*
陽春の門前町
駅と学校とお寺には桜が欠かせない。
1200年の歴史がある柳津の街を上から眺めると、山里を彩る桜が目にしみる。
只見線 会津柳津-郷戸 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T*
野路より
野路に佇む桜にはどのような由縁があるのか、静かにお地蔵さんが見守っている。
下から見上げる桜は華やかで夢見心地だ。
只見線 塔寺-会津坂本 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
春の宵
「おうちに帰るよー」と家族に声をかけられても、もっと遊びたいクロちゃん。
ひんやり涼しくなってきた駅前広場の夕べ。
只見線 会津西方 HASSELBLAD 201F Distagon CF 50mmF4 T*
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