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2014年5月10日 (土)

ウェールズの小さな鉄道 3 フェスティ二オグ鉄道(上)   服部一人

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スペシャルイベント「スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド」の列車たち。
上/
フェスティ二オグ鉄道の機関車にはすべて名前が付けられています。B型サドルテンダーの2号機。その名も「PRINCE」 フェスティ二オグ鉄道が蒸気機関車を導入した1863年製造です。普段は乗り入れないウエルシュ・ハイランド鉄道で特別列車を牽引します。
中/B2サイドタンク9号機「TALIESIN」 マッチ箱のような古典客車をひいて走ります。
下/「BLANCHE」と「LINDA」 どちらもグリーンの塗装がよく似合う、可愛いハンスレ製の1Bサドルテンダー。

スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド
前回まで紹介したウエルシュ・ハイランド鉄道も、沿線の自然の美しさ、ガーラットの魅力などですばらしい保存鉄道なのですが、このフェスティ二オグ鉄道も負けず劣らず魅力的です。走る車両の多彩さでは、こちらの方に分があるかもしれません。いままで訪問を熱望し、今回の旅行でもっとも楽しみにしてしていたのは、このフェスティ二オグ鉄道です。

ウエルシュ・ハイランド鉄道との接続駅であるポートマドックを起点に、もとスレート(石板)鉱山があったブラウナウ・フェスティ二オグまでの21キロ。ゲージはウエルシュ・ハイランド鉄道と同じく597ミリ。線路は山に向かって、ほぼ一方的な上り勾配が続きます。

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                ウェールズ地方とフェスティ二オグ鉄道

スレートはウェールズ地方の特産品のひとつで、建材としての需要が高いものです。このあたりをドライブしていると、屋根瓦として、また家の塀や道路のガードレール代わりなどによく見かけます。かつてはウェールズ地方にはスレート運搬用の鉄道がいくつもあり、このフェスティ二オグ鉄道もそのひとつでした。開通当時は貨物専業で旅客輸送はなく、山で取れたスレートは小さなトロッコに積まれて、自重でポートマドックまで下っていました。山へ帰るときには馬がひいたそうです。

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開通当時のスレート運搬列車を模した特別列車。こうしてトロッコに人が座りブレーキ操作をしながら山からポートマドックまで下ってきたそうです。これはなかなか楽しそう。ぜひ乗って操作してみたい。

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 ブラウナウ・フェスティ二オグに飾ってあった、実にキュートなDLとトロッコ。               

この鉄道が有名なのは、数あるイギリスの保存鉄道の中でも2番目に古い鉄道ということです。保存鉄道になる前のフェスティ二オグ鉄道は、1836年に開通といいますから、これもかなり古い方です。110年後の1946年に事実上の廃止。しかし廃止直後から保存復活に向けての運動が立ち上がり、1955年、ポートマドック~ボストンロッジが復活。わずかひと駅だけの短い区間ながらもイギリス2番目の保存鉄道としてスタートを切ります。

その後、不断の努力によって1982年、終点のブラウナウ・フェスティ二オグまで開通。線路がつながっているウエルシュ・ハイランド鉄道の車両もボストンロッジの機関庫でメンテナンスをしており、両鉄道は非常に深い関係にあります。ホームページなども共通で、特別な日には列車の乗り入れも行われています。このふたつの鉄道は、いま全英の保存鉄道の中でも非常に意欲的で活発な鉄道として注目されています。

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 ポートマドック駅周辺の路線概念図。ポートマドックと次のボストンロッジ間は、入り江を仕切る堤防のような細い築堤の上を行きます。


保存鉄道には年に何回か、ガーラと呼ばれるイベントデーがあります。こうしたときに訪れると普段は見られない特別列車が走って、とても満足感の高い一日を過ごすことができます。

今回、僕がお目当てに選んだのは「スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド」と呼ばれる記念イベント。これはフェスティ二オグ鉄道が1863年に、それまでの馬をやめて蒸気機関車を導入してから150年目に当たるということで企画されたものです。当時のビンテージ物の車両が走り、また乗務員も昔のコスチュームで乗務するなどいろいろと趣向が凝らされています。


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      「スチーム150 ビンテージ フェスティ二オグ ウィークエンド」のチラシ。


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ポートマドックは瀟洒な別荘やヨットハーバーもある小さな港町。

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列車が推進運転で入線してきました。
今朝1番の列車は、フェスティ二オグ鉄道名物のダブルフェアリー(双頭型)「MERDDIN EMIRYS」号。こちらはもとは1879年の製造ながら、近年ボストンロッジにて、ほぼ新製に近い車体更新がなされています。

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ポートマドック駅舎のカフェは、すぐ間近で列車が眺められて特等席。でも汽車が通るたびに浮き足だって、落ち着いて食事ができません。客車は古いタイプのものから近年製作されたものまでいろいろ。ワンちゃんも運賃を払って、一人前のお客。


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タン・イ・ビルシ駅に進入する「MERDDIN EMIRYS」号。駅の小屋も実に可愛らしい。


2013_10_08__0195                タニィリシュのS字カーブを登ってくる列車。



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今日一日のさまざまなイベントが終わり、ボストンロッジにの車庫に帰る汽車。お疲れさまでした。


CANON EOS 5DMkⅡ, 60D, EF70-200/2.8L, 17-40/4L, EF Macro100/2.8L, Makro-Planar50/2, Distagon35/2


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