グロッセン構内のフェルトバーン。緑濃い雑木林の横にへろへろのレールで側線が引かれ、その先にはトロッコが数両停まっている。何とも心にしみるナローの情景でした。

今回のザクセンのシリーズ、今まで蒸気鉄道ばかり紹介してきたが、ちょっと気分を変えてフェルトバーンをひとつ。ドイツ語のフェルトバーンとは日本語でいえばトロッコといったところか。目的が鉱山であれ、河川改修や砂利採取であれ、あるいは小さな工場の引き込み線であれ、野原に敷かれたひょろひょろの細い線路、そんなナローゲージ全般とでもいえばだいたいあっていると思う。
ここは以前に紹介したデルニッツ鉄道(こちら→http://blog.rail-on.com/2015/10/2-52e0.html )の終点、グロッセンの構内から森の中にのびている雰囲気満点のトロッコである。フェルトバーン本来の目的はすでに終わり、いったんは廃線になったものを整備して保存している。このトロッコの存在を知ってから、ぜひとも見てみたいと強く興味を引かれたものの、調べてみるとボランティアによる細々とした運営のようで、年間の一般公開日が何と9日しかない! それ以外の日はトロッコの運転もなく、森の中にある車庫やさまざまな施設を見ることもできない。日本からはるばる訪ねていくのに、これではいかにも狭き門だ。悩ましいところだが、幸いなことに今回のデルニッツ鉄道のイベントデイと重なって一般公開があった。これを逃す手はない。
構内の砂利積み込みのホッパーの下、日本でいえば宝くじ売り場のような小さな小屋があり、ここで切符を売っている。側線には実に可愛らしいDLに貨車3両をつなげた列車が停まっている。。デルニッツ鉄道の列車から降りたお客のうち、少なからぬ人が貨車に乗って出発を待っている。ここに来るまでは、こんなトロッコを見に来る人がいったいどれほどいるだろうかと思っていたが、けっこう人気があるようだ。
やがてブザーのような警笛を鳴らして、向こうからもう一列車やってきた。こちらも極小のDLだが、エンジンの音は姿に似合わず、なかなかに勇ましい。小さな車体を左右に揺らせながら入線してきた。本日はお客が多く増発するようだ。
お客が全部乗ったところでいざ森の中へと出発。本日は2列車の続行運転。鈴なりのお客が小さいトロッコに揺られて森の中に運ばれていく。レールも細く、保線状態もそれなりだからでこぼこしている。さらにレールのつなぎ目もけっこう開いていたりするから左右によく揺れる。もとより貨車を改造したオープンエアの客車なので座席も木だが、薄いクッションが敷いてある。そんな仕様なので台車の振動がダイレクトにお尻に伝わってくる。これに小型DLらしからぬ盛大な排気音が加わって 、乗り心地はかなりワイルドだ。でもこれぞトロッコ、なかなかいいもんですよ。
終点で採石を積み込む実演を見て、そのあと小さな車庫を見学したあとは、へろへろのレールをたどりながらあたりをゆっくりと歩いてみた。僕はこういう極小ナロー鉄道が大好きなのでたいへん満足。おもしろい体験でした。

これがグロッセン構内のホッパー(採石積み込み施設)の全景。600ゲージのフェルドバーンの小さな貨車から落とされた採石は1435ミリ標準軌の貨車に積み込まれ、その貨車は750ミリゲージのデルニッツ鉄道のロールワーゲンに乗っかっている。手間はかかっただろうけど、模型のようにたのしい施設だ。
この日はお客が多かったので2列車が仕立てられ、続行運転で森の中に向かった。左に見えるのがホッパー。
グロッセンをでると野原の中をゆるやかにカーブして、やがて森の中へと入ってゆく。
左に見える車庫が小さな博物館のようなものになっていて、この中にもお宝のような小型DLがたくさん。
こちらが実演を見せてくれる採石を細かく砕くクラッシャー。見物客の大半はマニアではなく、ご覧の通りの一般客。実演が始まり機械が動き出すと轟音とともに粉じんもでるし、僕はファンだから楽しいけど、普通の人がこんな物見て楽しいのだろうかと不思議に思います。しかし、けっこう熱心に見ている人が多いのです。
グロッセンフェルトバーン博物館 現地のガイドとアクセス
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ここはデルニッツ鉄道の終点、グロッセンの構内から森の中の採石場を結ぶトロッコ。本文にも書いたように2015年の場合、年間9日間しか一般開放がないので、よく調べてから訪問しないと見られない。(ホームページはこちら、ただしドイツ語→http://www.feldbahn-glossen.de/)
1991
年に廃止になったあと放置されていたものを94年に保存施設として復活させたもの。ここの特徴とすばらしさは積み込み用のホッパーから採石場からクラッ
シャーまで、フェルトバーンの施設一式をすべてまるごと保存していること。そのためトロッコに乗って森の中にはいっていくと、フェルトバーンというものの
現役当時の雰囲気が非常に濃厚に感じられる。 (2015年9月現在)
ぽつんと森の中に停められたDL。森林鉄道の一場面のようにも見える味わい深さ。
CANON EOS 5DMkⅡ, EF70-200/4L IS, Makro-Planar50/2, Distagon35/2 VOL.724
明後日17日よりクリスマス特集をします
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