市電を訪ねてレトロでんしゃ館 服部一人
市電1400形。戦前の製造ながら全廃時まで活躍した名古屋市電の名車のひとつ。僕もたびたび乗ったので保存車両の中ではもっともなじみがある。
名古屋の赤池にあるレトロでんしゃ館に行ってきた。正式名称は「名古屋市 市電・地下鉄保存館」というのだが、かつて名古屋市内を走っていた市電(名古屋では路面電車のことをこう呼んでいた。)と地下鉄開通時の車両を保存している記念館である。
市電が全廃されたのは昭和49年(1974年)3月のことだ。ちょうど僕が小学校を卒業する春のことだった。僕の実家のすぐ近くには市電が走る大通りがあって、その通りはでんしゃ道と呼ばれていた。子供の頃、親戚の家に行くとか、あるいは母と一緒にどこかへ出かけるときなどによく市電を利用した。当時、我が家のカメラはハーフサイズのオリンパスペンDだった。父にお願いしてカメラを借りて、たびたびでんしゃ道で写真を撮っていた。そんなわけで市電にはひじょうになじみが深い。
僕が今でもトラム好きなのは、きっとこういう子供の頃の原体験があるからだろう。またトラムに限らず、緑とクリームに塗り分けられた電車を見ると愛着と共感を覚えるのも、おそらく市電の影響があると思う。
このレトロでんしゃ館はうれしいことに車内に入って見学することができる。きれいにレストアされ、往事の雰囲気がそこかしこに残る車内に入ると、たちまちにして子供の頃の自分自身や、その時代に思いはつながる。モケットの座席の感触、靴底をつうじて伝わる木の床のやわらかさ、丸いつり革の手触り、そのどれもが懐かしく、かつての記憶を呼び覚ます。ふしぎなことに電車とは直接関係のない、少年時代のさまざまな出来事が思い出されて胸がいっぱいになる。
こちらは連接車3000形と2000形。2000形はゴムを利用した弾性車輪とボディ下端が台車を隠すようなデザインで騒音を減らし、乗り心地の向上を図った、当時としては画期的な車両。
こちらが地下鉄開業時に導入された100形。僕も高校時代3年間、通学で地下鉄を使っていたので、これもまた懐かしい車両だ。
Canon EOS60D, EF17-40/4L VOL.747
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