ザクセンの小さな鉄道8 ムスカウ森林鉄道(中) 服部一人
クロムラウまで行く路線には途中駅はないが、中間に交換設備がある。この日はイベントディで列車大増発だったので、通常はない途中での列車交換があった。森の中で待機して待つヴァイスバッサー行きの列車。
ムスカウ森林鉄道はふたつの路線がある。途中のミュージアム駅を出た少し先でふたてに分かれ、左手はクロムラウまで。もう一方はバート・ムスカウまで向かう。クロムラウまでの路線は終点までおおむね森の中を走り、ひらけた場所は少ない。並行する道路もなく撮影は線路脇に限られる。汽車はクロムラウ行きが後ろ向き、戻るヴァイスバッサー行きが正方向となるので、できたら戻る列車を撮りたいところ。別に後ろ向きでもサイドから編成が撮れればいいのだけど、そういう場所はほとんどない。
僕が訪れた日は冷たい雨が降る1日だったので、朝から夢中になって沿線で撮影しているとけっこう体が冷えてきた。しっかりしたハイキングシューズを履いてきたので心配ないが、ふと足もとを見るとぬかるんだ泥で汚れている。一旦引き上げることにしてミュージアム駅まで戻る。まだ昼飯には早いけど、屋台でコーヒーと巨大な(僕にはそう見える)ソーセージがはさまったホットドッグを買う。温かいコーヒーは体にしみわたる。
しばし休息して、ずいぶんと濡れてしまったカメラを拭いて、次の列車でクロムラウまで向かうことにする。小さな木造客車はマッチ箱のようでこの狭さが妙に落ち着く。木のベンチから伝わってくるゴトゴトとした振動を心地よく感じているとまもなく終点のクロムラウに着いた。小さな駅舎があるだけで周辺には人家は見えない。すぐに列車は折り返す。
ヴァイスバッサーで出発を待つクロムラウ行きの列車。
ミュージアム駅の先にある分岐点。左がクロムラウ方面。これはバート・ムスカウから戻ってきた列車。
クロムラウに到着した列車はただちに汽車を切り離し、機回しをする。正方向で列車の先頭に立ったのち、まもなく出発していく。
クロムラウからヴァイスバッサーに戻る列車。
霧雨の森の中を列車が通り過ぎる。背後に見える建物は廃墟となったもとレンガ工場。
バート・ムスカウに向かう路線も森の中を走る区間が多い。道路はあるがついたり離れたり。途中踏切もあるけど広々とした場所は少ない。終点のバート・ムスカウは公園のちょっとした広場のようなところ。こちらもヴァイスバッサーに戻る列車が正向きとなる。
列車に乗って到着した僕は汽車の機回しや給水を少し撮影したあと、線路沿いに歩いて戻る。沿線はほぼ平坦で勾配が少ないため激しい煙はむりだろうが、ここはバート・ムスカウを出発した直後なので少しは期待できる。今日は雨で寒い日なのでなおさら好都合だ。
鉄とおぼしき人は数人いるが、日本での撮影から比べればいたって少ない。お互い邪魔になることもなく、思い思いの場所に散在する。僕も三脚にビデオカメラをセットしてフレーミングを決め、慎重にマイクのボリュームを調整してからスタートボタンを押す。あとはその場を離れ、汽車が通過するまで回しっぱなし。少し離れたところでカメラをかまえ、本命の写真に集中する。
バート・ムスカウに到着後、すぐに機回しするところ。
機回しのあとは給水して出発に備える。
ボルジッヒ1912年製のDタンク。アウトサイドフレームの無骨な感じがなかなか好きです。
待つことしばし、激しい力行でやってきた汽車。この日見た1番の煙。雨の中、待った甲斐がありました。
汽車は出て行く、煙は残る、というわけで余韻のある風情でした。
Canon EOS5DMk2, 70-200/4IS, Makro Planar50/2 Distagon35/2 VOL.770
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