トラムの走る町12 プラハのガントレット チェコ 服部一人
建物と建物の間の細い通路を通り抜けるために、このわずかな区間のみ単線になっている。
ガントレットということば、鉄の方々ならご存知のことも多いと思いますが、いちおう簡単に説明すると日本語では「単複線」とも言うそうです。複線の線路がある区間だけ単線になる線路配置のことです。線路を敷設するさいに道路幅が狭いとか障害物があるなどの理由で複線にできない区間生じた場合、その区間のみ単線にしてまたすぐに複線に戻る構造です。まぁ、説明聞くよりも写真見ていただいた方が一目瞭然ですね。
僕が子供の頃、名古屋の名鉄瀬戸線の本町駅にガントレットがありました。当時の瀬戸線は地下で栄に乗り入れる前の時代です。この区間はお城の外堀の中をゆくめずらしいところでした。そのためお堀の角に沿ってほとんど直角に曲がるところや、このガントレットなど、線路配置はなかなかユニークでした。小学生や中学の頃に何度か撮りに行ったことがあります。
さて、プラハのガントレット、鉄道趣味的には有名なところで日本でも取り上げられたことがありますし、ドイツの鉄道雑誌でも見たことがあります。昨年現地に行った時にいちばん楽しみにしていたのがこのガントレットでした。場所はプラハの旧市街、有名な観光地のカレル橋を渡った西詰から少し歩いたところ。電停の名前でいえば、Malostranske namestiあたりです。いくつかの系統が通る場所なのでけっこうひんぱんに電車がやってきます。僕は昼に1回、夜に1回と飽きもせず訪れて写真にビデオにとせっせと 撮影しました。
ところで、プラハはとても美しい都市です。夕方の斜光線や、その後の薄暮時に歩いていると、町並みの陰影がうっとりするほど美しいと感じます。町のスナップショットがいくらでも撮れそうな気がして、歩きながらたくさんのシャッターを押しました。プラハのトラムは総延長140キロ以上もあるそうです。数日間の滞在ではまわりきれません。きっとほかにもいい場所があると思います。日本に戻ったいまでもプラハの日々を回想し、再び訪れたい気持ちをいだくのです。
プラハのトラムは1875年開業ということだが、その時点ですでにこの建物はあったのだろう。安易に建物の取り壊しをせず、古い町並みを維持しながら電車を通す努力はまことに立派。
ガントレット区間の前後は石畳の街路がつづき、とりわけライトアップされた夜は美しい。
ガントレット区間はけっこう電車の往来が多い。前後にはちゃんと信号機があって、こうして信号待ちをする風景もよく見られる。
写真展開催まであと2週間を切りました。先日展示プリントと写真集の入稿を済ませてホッとしています。あとは仕上がりを楽しみに待つばかりです。今回は写真展のほかにart+booksという写真集を作ります。各メンバーがそれぞれのテーマで1冊ずつ制作します。
ギャラリーで展示できる写真は限られていますが、写真集の中にはたくさんの写真を納め、鉄道の魅力を余すことなく伝えることができます。この写真集はすべて会場に展示してあり、自由に手にとってご覧いただけます。写真展もさることながら、この写真集も必見です。ぜひ会場にお越しいただきご覧ください。
http://www.art-books.jp/exhibition/2016-railway-photo/
Canon EOS5DMk2, 70-200/4IS, Makro Planar50/2 Distagon35/2 VOL.837
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