ブダペストの登山鉄道と子供鉄道 服部一人
セーチェニ山(Széchenyi-hegy)に進入する子供鉄道の列車。子供たちが敬礼で迎える。 ラックレールで急勾配を力強く登る。車両はオーストリア製のもの。
ハンガリーの首都、ブダペストには町の郊外に興味深い鉄道が2つある。1つは登山鉄道。全長たったの3,7キロ、所用時間15分足らずの短い路線ながらラック式の本格的な登山鉄道だ。
この鉄道の山頂駅セーチェニ山(Széchenyi-hegy)からはもう1つの鉄道がある。山の尾根に沿って線路が敷かれた子供鉄道である。子供鉄道といっても遊園地の乗り物などではない。軌間760㎜のナローゲージで延長11,2キロの立派な鉄道である。ここでは機関車の運転は大人がおこなうが、それ以外の業務、つまり出札や車掌、信号操作などは大人の指導のもとに10〜14歳の少年少女たちが働いている。
かつて旧ソ連では青少年のエリート教育組織としてピオネールというのものがあった。将来の幹部候補としてさまざまな教育、訓練施設が設けられたが、この鉄道もその一環として建設されたものである。このような鉄道は、当時旧ソ連の影響下にあった周辺の社会主義国にも広まった。昔はピオネール鉄道と呼ばれていたが、現在では子供鉄道と名前を変えて、青少年の職業訓練や社会教育の場として現在も運行されている。
途中駅で交換する子供鉄道の列車。夏はオープンデッキが気持ちいい。
制服姿も凛々しい子供たちがきびきびと働いている。
アクセスと現地ガイド
登山鉄道、子供鉄道はともにドナウ川の西岸、ペスト地区にある。登山電車の乗り場ヴァーロス・マヨル(Városmajor)は同名のトラムの電停のすぐ前。ブダペストの中心部からだと地下鉄かトラムで通称モスクワ広場(Széll Kálmán tér)まで行き、56番のトラム(Hűvösvölgy行き)に乗り換えて2つめだ。ただし僕が訪れた2015年9月末時点では、このモスクワ広場周辺は大規模な改修工事中で56番のトラムも運休中だった。しかたなくバスに乗ったが、歩いても1キロ弱の距離だ。2016年の現在では工事も進んでいると思われるが、訪問の際は確認してください。
当時工事中だったモスクワ広場周辺。
登山鉄道はトラムやバスと同じく公共交通なので、回数券や1日乗車券が使える。日中はおよそ20分間隔で運行している。終点のセーチェニ山(Széchenyi-hegy)
の駅前の道を200メートルほど進むと同名の子供鉄道の駅がある。こちらはだいたい3月から11月の週末を中心として1日15往復以上の運転だ。通常はDLが客車を牽引するが、蒸気機関車も保存しておりスペシャルイベントに活躍する。
延長11.2キロに対し、両端の駅の高低差は約230メートルほどもあり、30パーミルをこえる急勾配がある。線路はおおむね森の中にあり、視界が開ける場所は少ない。一方オメガループをはじめカーブが随所にある。
終点のヒューヴェス・ヴェルジュ(Hűvösvölgy)からは、駅前の坂を下りると56番のトラムの終点の同名の駅があるが、僕の訪問時は運休中だった。
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