ウィーンのインダストリアルナロー博物館(上) 服部一人
ウィーン空港に降りたことがある鉄道ファンの方なら、空港から市内に向かう電車に乗ると空港を出てしばらく行った右手の方、線路脇に本線とは明らかに違う、なにやら非常に怪しげなナローゲージと思われる車両群が見えていろめきたった人もいると思います。
僕もこれが視界に入った時には何ごとかと思い、放っておけない気持ちになったのですが、なにぶん大きな旅行荷物を抱えた身なのでまずは市内のホテルに荷を降ろし、後日いざ探検に出かけることにしてみました。場所はウィーン郊外。市内からだとSバーンの7系統、空港方面行きに乗って30分足らず。SCHWECHAT(シュヴェヒャート)駅のすぐ横にあります。駅で降りたら線路の下の道路を通って改札口と反対側へ。すぐに小さなMUSEUM という看板があります。開館日は、僕が訪ねた2015年は5月1日から10月26日まで。冬期は閉館です。開館時間は水曜日から土曜日までが14時~18時、日曜日が10時~17時までとなっています。月曜日、火曜日はお休みです。
ここはどうも私立の博物館のようで「EISENBAHNMUSEUM am Bahnhof SCHWECHAT」(シュヴェヒャート駅の鉄道博物館)と書いてあります。入場料は8ユーロ。窓口のおじさまは初老の男性で、ほかにもNPOの趣味団体のメンバーのような方が働いていらっしゃいました。古い車庫を改修した屋内展示と構内を利用した屋外展示があります。
いろいろ見ていくと、ここは標準軌の車両もありますが、オーナーの趣味か小さなインダストリアルナローの機関車が非常に多いことに気がつきます。まさに僕のツボにぴったり。構内には600ミリのレールが敷かれ、多くの産業用車両が置いてあります。ただその多くは保存というよりは「放置」という感じで、構内至る所に錆びた車両がころがっています。とりあえず廃車になった車両を運んできて、こつこつと順番にレストアしていく素材のようです。
その適度な「荒れ具合」がまた実に侘び寂び度が高くて、ますます僕のツボにはまりました。そこらへんの草むらに投げ捨ててあるナベトロなんかを見ていると、博物館の展示というより、実際のフェルトバーン(トロッコ 軽便鉄道)の現場に来たような気分で、なかなか臨場感のある味わい深い景色です。さほどの期待はしていなかったのですが、僕にとってけっこう楽しめる博物館でした。次回は標準軌の展示をご紹介します。
CANON EOS60D, EF17-40/4L VOL.942
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