トラムの走る町 20 セビーリャ スペイン 服部一人
「トラムの走る町」シリーズも20回目を迎えました。さて、記念すべき今回は特別なトラムです。上の写真、セビーリャ中心部の世界遺産、大聖堂の前を走るトラムですが、なんか変だと思いませんか? すっきりしすぎていますね。架線がありません。かといって、これはディーゼルカーではありません。ちゃんとした「電車」です。世界的にまだ珍しいものの、しかし少しずつ数を増やしている「蓄電池式トラム」です。欧州ではフランスのニースなど、いくつかの都市で採用例があり、アジアでも2015年に部分開業した台湾の高雄のライトレールが蓄電池式です。
セビーリャの場合、架線は停留所にしかありません。電車は停留所に停車するとすぐさまパンタグラフを上げ、わずかな乗降時間の間に充電します。たった30秒程度の充電でも次の停留所までの数百メートルを走行するのに十分な充電ができるということです。架線のある従来のトラムに比べメリットとされているのが、架線や電柱などのインフラを設置しなくてすむことによる建設費のコストダウンと、町の美観を守ることです。高性能な充電式電池の開発により、今後さらなる普及が期待されている蓄電池式トラムです。
大聖堂の前を走るトラム。このような歴史的な町並みの中を走る場合は、たしかに架線も電柱もないと非常にすっきりとして町の景観を損なわないということが実感できます。
停車中の電車はこのようにパンタグラフを上げ、すぐに充電を始める。
セビーリャのトラム、アクセスとガイド
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セビーリャはスペイン南部アンダルシア地方の観光都市。首都マドリードからなら特急で2時間半程度。駅はセビーリャ・サンタ・フスタで市の中心部からはやや離れた場所にある。駅前のバス停から32番のバスに乗り、終点のドゥケ・デ・ラ・ビクトリア広場まで行く。そこから南に歩けば市の中心部に出る。
トラムは2007年に開業し、中心部のヌエバ広場〜サン・ベルナルド間のわずか2キロ。停留所は5つだけだが、今後伸延の計画もある。軌間は標準軌の1435㎜。車両メーカーは地元スペインのCAF。
FUJI X-T2, Fujinon XF10-24/4, XF35/2 VOL.970
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