レイル・オン ブログ1000回記念 VOL.1003 マヨルカ島の小さな鉄道2題 服部一人
このすばらしい木目の美しさ。ソーイェル鉄道が1912年に開通し、1929年に電化された時に導入された電車だ。きちんと手入れされて、今も輝きを保つ。
みなさん、こんにちは。当ブログも5年目にして1000回の大台を迎えることができました。これもひとえに、いつも見ていただいている皆さまのおかげと感謝しております。今後ともよろしくお願いします。
僕の記事は毎度のことながら、蒸気機関車、ローカル線、トラムのネタを中心にやっておりますが、今回は1000回記念なので特別編といたしまして、スペインのマヨルカ島の小さな鉄道をご紹介します。通常の2回分のボリュームでふたつの鉄道を取り上げます。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マヨルカ島の中心都市はパルマなのだが、パルマという都市はほかにもあるので、正式にはPalma de Mallorca(マヨルカのパルマ)というようだ。このパルマの中心部スペイン広場(Placa d'Espanya)からソーイェルまでソーイェル鉄道(Ferrocarril de Soller)が走っている。この鉄道の何がすばらしいと言って、1929年製の木造電車が現役で走っているのだ。
広場の片隅にあるソーイェル鉄道のパルマ駅は列車のいない時はひっそりとした静かな駅だ。ホームは1面のみ。機回し線と小さな車庫があるだけだ。キップの予約をしてしばらく待ってると、次第に観光客とおぼしき人々が集まり始めた。ほどなく駅のはずれからホイッスルが聞こえて名物の木造電車が静々と入線してきた。ソーイェルから到着した列車で、これが折り返してまたソーイェルに戻っていく。木造電車はすぐに機回しをして反対側の先頭につく。この鉄道は木造電車が機関車代わりとなって木造客車を牽引するスタイルだ。
本当は先頭の木造電車に乗りたかったのだが、ホームであれこれ写真を撮っているうちに電車は満席となってしまい。仕方なく2両目の客車に乗車。でも、この客車もなかなかいい雰囲気の木の内装だ。パルマを出発した列車は少しのあいだ市街を路面電車のように走る。やがて郊外に出ると、あとはのどかな田園風景の中をゆったりと走っている。途中駅のブンヨラ(Bunyola)駅を出てトンネルを抜けると、いつのまにか山の中腹を走っている。遠くにソーイェルの町を見下ろすことができる景色のよい眺めだ。あとはカーブを繰り返しながらソーイェルの町に向かって一気に下りていく。
列車がパルマに到着すると、すぐに機回しがおこなわれ、再びソーイェルに向けて出発する。
先頭の電車から客車にいたるまで、すべて木造の編成美。
客車の内装。
ソーイェルの構内。小さなターンテーブルに平面交差もあって非常に興味深い。
車庫の中にはなにやら変わった車両も。
近づいてみると2両の小さなグースでした。走るところを見てみたい。
終点のソーイェルは車庫もあるなかなか大きい駅だが、これで終わりではない。降りたホームのすぐ下にトラムの駅があって、さらにソーイェル港(Port de Soller)までかわいい2軸単車のトラムが走っている。お客の多くは小さなトラムに乗り換えて港をめざす。このトラムも実に味わい深い。駅を出るとすぐに町の中を走り、中心部の教会の広場を横切る。狭い道路や市場の前、カフェのすぐ脇などをゆっくりと通り抜けると、専用軌道に入り田舎電車の風情となる。やがて海が近づくとにぎやかなリゾートの海岸線を走って港のすぐ脇の終点に到着する。
こちらも木造電車が客車を牽引するスタイルだが、多少違うのは列車の両端に電車があり、あいだに2両の客車をはさんでいる。そのため終点での機回しの必要がない。
パルマからふたつの電車を乗り継いでの旅は車窓に変化があり実に楽しかった。山も海も、さらに市街地といろんな風景が味わえ、何といっても明るい日差しに映える木目の美しい車体が心に残っている。
こちらがソーイェルのトラム乗り場。鉄道のホームのすぐ下にある。
トラムの車庫。
やがて海岸沿いに出てリゾートホテルが建ち並ぶ横を静かに走って終点ソーイェル港へ。
これはリスボンで走っていたトラムを改造した比較的新しい電車。半鋼製車。
ソーイェル鉄道、アクセスとガイド
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マヨルカ島はスペインの東、地中海に浮かぶリゾートアイランド。バルセロナ、マドリードから国内線もあるし、ほかにヨーロッパ主要都市からフライトもある。空港は市内から少し離れた郊外にあり、パルマ市内まではバスがある。空港のバス乗り場にある券売機は壊れていたので、乗車時に運転手に料金を払う。降りるところはスペイン広場(Placa d'Espanya)。空港から約20分程度だ。降りる時にはボタンを押すことになっているけど、スペイン広場は繁華街なのでたいてい他の乗客も降りるから心配ない。
スペイン広場の地下にはマヨルカの郊外電車も出ているのだが、今回の目的ソーイェル鉄道のパルマ駅は地上にある。広場の脇にひっそりとたたずんでいて、電車の発着時以外は人影もまばらで静かだ。ここではトラムの終点のソーイェル港までの往復キップ切符も買えるのだが、繁忙期は列車を指定して切符を買うことになる。パルマ〜ソーイェル間は1日4往復から6往復。バカンスシーズンは多く走る。約20キロの区間に1時間以上かけてのんびり走る。乗り継ぐソーイェルのトラムは朝晩は1時間に1本、昼間は30分に1本程度。こちらは約5キロで20分くらいかけて走る。軌間はともに914ミリだ。
パルマ市内にも手頃なホテルはあるが、ここはリゾート地なのでソーイェルのリゾートホテルに1週間くらい滞在し、ゆったりとリゾートを楽しみ、たまに鉄道をちょこっと撮影する なんていう優雅な過ごし方が本当は一番やってみたい。
マヨルカ島は温暖な気候なので、僕が訪問した2月下旬でも天候さえよければ暖かい。昼間は半袖でもいいくらいだった。
FUJI X-T2 FUJINON XF35/2 XF10-24/4 CANON EOS5D EF70-200/4L VOL.1003
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コメント
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ソーイェルのトラムは以前、BSフジの「路面電車で行く世界各街停車の旅」と云う番組で見て、リゾート地の海岸を走る姿に感動した覚えが有ります。オープンデッキの客車がまた良かった。是非、本物に乗ってみたいものです。
投稿: ベッサホイ | 2017年8月 1日 (火) 19時52分
こんにちは。先日は写真展にお越しいただきありがとうございました。
マヨルカ島、おすすめですよ。ご家族でご一緒に行かれても、本人は鉄道三昧、ご家族はビーチリゾートでゆったりとバカンス といった具合に棲み分けできます。冬でも暖かいので、日本が寒い時期に行くといいかもしれません。僕は1日だけの訪問でしたが、もっとゆっくり撮影したかったです。
投稿: ハットリ | 2017年8月 1日 (火) 21時51分