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2022年11月15日 (火)

「とき」の道  深川俊一郎

本日11月15日に上越新幹線が開業40周年を迎えました。そしてその前日、昭和57年11月14日は、私にとって生涯忘れられない日になりました。
40年という少しだけ切りのいいタイミングで、かつて上野-新潟間を走っていた181系特急「とき」の雄姿を2回に分けてご覧いただきます。

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雪をけたてて
ほんの30分前に列車が去った後なのに、もう線路は雪に埋もれてしまった。
いわゆる「ドカ雪」が降ると、いてもたってもいられなかった。
スノープロウが直接雪を掻いて走る姿が撮りたかったのだ。
上越線 岩原スキー場前-越後湯沢 minolta XD MD TELE ROKKOR 135mmF2.8 KR

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雪国
久しぶりの晴れ間で、雪国はつかの間の休息を迎える。
そして直ぐにまた次の雪雲がやってくる。
上越線 大沢-塩沢 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

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銀世界
白銀の越後平野を見渡したくて、どこまでも歩いて行った。
遠くの弥彦山が穏やかに望まれた。
信越本線 東光寺-三条 minolta XD MD TELE ROKKOR 135mmF2.8 KR

上越線初の特急「とき」は昭和37年6月10日に誕生し、首都圏と新潟を大幅に近づけ、そして昭和57年11月15日にその使命を新幹線に渡すまで走り続けた。
その期間は僅か20年と少し。今考えればそれは鉄道技術が飛躍的に向上するための過渡期だったのかもしれない。
ボンネットに赤い鉢巻がトレードマークの181系(誕生時は161系)は、日本初の電車特急「こだま」の151系(誕生時は20系)を勾配線区仕様にしたもので、これらはのちに性能を統一して181系とされた。その均整がとれたスタイルと風格は今なお色褪せることがない。
「とき」の他にも東海道新幹線開業後は山陽本線、そして信越本線「あさま」、中央東線「あずさ」など直流区間の花形列車として活躍した181系は、老朽化で順次撤退。最後まで残った上越線「とき」でも常に引退が囁かれていたが、14往復中の3往復で遂に最後まで走り続けてくれた。特急「とき」の終焉が181系引退の舞台となったのだ。

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早春
雪国の春は目が覚めるように清冽だ。
残雪と新緑と山桜の諧調がカンバスを彩っている。
上越線 土樽-越後中里 minolta XD MC TELE ROKKOR 135mmF2.8 KM

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春光
スキー客であれだけ賑わっていた冬が嘘のように静かな春。
無人のスキー場を見ていると何だかホッとしてしまう。
上越線 越後中里-岩原スキー場前 minolta XD MC ROKKOR 50mmF1.4 KM

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郊外の春
大宮を出てしばらくすると、そこにはまだ雑木林が広がっていて「郊外」という響きが似合っていた。
瑞々しい緑に赤とクリームの塗装が鮮やかに映えていた。
高崎線 桶川-北本 minolta XE MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

幼少から軽井沢や越後湯沢へ行くのによく「そよかぜ」「あさま」「新雪」「とき」などの181系特急に乗っていた私は、中学生になって一眼レフにリバーサルフィルムで本格的に写真を撮るようになり、初めてテーマをもったのも自然と181系だった。
車両そのものと路線の魅力、181系か上越線かどちらに惹かれたのだろうか…答えはもちろん両方なのだが、そこには必然的な要素があったと思っている。
私は車両マニアではないが181系だけは別で、先頭車を見ればナンバーまで分かるほど好きであったし、山やスキーで馴染みのある沿線は、明確な四季と情緒あふれる風情が魅力的だった。
当時の上越線には183系や485系特急に165系急行などがうじゃうじゃ走っていたがあまり撮らなかったし、昨今引退を前にして騒がれている湘南色の115系など来てもフィルムがもったいなくて撮らなかった。また181系が他の線区を走っても、そこまで追いかけることはなかったかもしれない。
自己満足かもしれないが、肝心なのは、自分がその魅力に惹かれて好きで撮っていたということに他ならない。

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長い雨
しとしと降る長い雨を撮りたかった。
山里の緑が嫌という程潤っていた。
上越線 岩原スキー場前-越後湯沢 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

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盛夏
出穂前の澄んだ黄緑色の田んぼが目に優しい。
湧き出る夏雲が郷愁を誘った。
信越本線 北長岡-押切 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

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薄暮
夕刻のみちがうっすらと霞んできた。
橙色のスモールランプが寂しげに灯った。
信越本線 保内-加茂 minolta XD MD TELE ROKKOR 200mmF4+MC4 KM

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夕煙立つ頃
稲穂が色づくと、芳しい香りが鼻をくすぐる。
夕空を駆けてゆく列車の音がいつまでも響き渡っていた。
信越本線 帯織-東光寺 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

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秋霖
秋の雨は一度降り出すと長い。
夕暮れ時は乳白色から群青色にゆっくりと移ろってゆく。
上越線 石打-大沢 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

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深秋
雪が来る前、錦秋の山あいは明るく澄み切って、そして静かだった。
落葉を踏む音が、やがて来る次の季節を予感させた。
上越線 湯桧曽-土合 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KM

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次の季節へ
最後の1年を切ってからは、常に次の季節はないと心に念じながら臨んでいた。
西日を受けて輝くその姿は、どこか遠くへ飛び立っているようで寂しげだ。
高崎線 新町-倉賀野 minolta XD MD TELE ROKKOR 135mmF2.8 KM

(フィルム略号…KM:Kodachrome25 KR:Kodachrome64)

次回に続きます。

Vol.1673

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コメント

被写体やロケーションが素晴らしい、それ以上にカメラアイが。思わず溜め息が出てしまいます。

25‰さま
いつもご覧いただきありがとうございます。
少し気恥ずかしいですが、当時はかなり熱が入っていました。12両編成の特急列車を感度の低いコダクロームでよく撮っていたなと思います。40年経っても色はびくともしていません。

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