2025年2月 9日 (日)

北へのいざない-宗谷本線2025②  深川俊一郎

日本最北の駅は言わずと知れた稚内ですが、現在の駅舎は観光施設と一体化した、近代的で機能的な駅です。
その2つ手前、荒涼とした原野に佇む駅、抜海。北の果てを実感する寂しい駅です。私は勝手に「さいはての駅」と呼んでいます。
少し昔の作品も含めて、数回にわたりご覧いただきます。

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寂寞な夜
分厚い雪雲の隙間から、青白い月が覗いた。
一日の下り列車のうち、今では三本目が終列車だ。
宗谷本線 抜海 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ(+1)

Vol.1960

2025年1月27日 (月)

北へのいざない-宗谷本線2025①  深川俊一郎

高校1年の夏に初めて北海道に渡り、それ以来何度も訪れることになった宗谷本線。中でも一番親しみのあった抜海駅が3/15のダイヤ改正で廃止になります。
最後にもう一度訪れたくて、北へ向かいました。私は時間が許す限り、新幹線で北海道に渡ります。東京から新函館北斗、そこから札幌まで特急北斗、そして旭川まで特急カムイ。一泊して、翌朝6:03発の普通列車で稚内を目指しました。

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群青色の車窓に、踏切の赤いシグナルの残像が焼き付いた。

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北へ向かう暖かな車内に眠気が漂う。

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雪の重みに耐えてきた跨線橋が印象的な美深駅。

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音威子府を過ぎれば天塩川が近づいてくる。

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汽笛を目いっぱい鳴らしても鹿は平気で線路を横切る。

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分厚い雪化粧が厳しさを物語る。

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笑顔の出迎えがあった勇知駅。

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抜海駅は変わらずに寂しげだった。

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西海岸の向こうにあるはずの利尻富士は、厚い雲に隠れていた。

宗谷本線 車内 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ(+1)

Vol.1956

2025年1月15日 (水)

里山の小径-小湊鐵道2025  深川俊一郎

小春日和の里山に、緩やかな時間が流れてゆきます。
遅い黄葉は、線路にのってゆっくりと去ってゆきます。

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里山の小径
気まぐれに踏切を人が渡り、そして忘れた頃に列車が去っていった。
小湊鐵道 里見-飯給 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T* RDPⅢ

Vol.1952

2025年1月 3日 (金)

「Rail-On 謹賀新年号 1号車」  深川俊一郎

本年もよろしくお付き合いいただきたく、お願い申し上げます。
最近はフィルムや現像料金が値上がり、今まで以上に1枚1枚を大切に心を込めて撮影しています。デジタルの利便性はもちろん興味ありますが、何かきっかけや突発的な出来事(例えば致命的な機材トラブル?)がなければ、なかなか積極的にフィルムをやめる気持ちにはなりません。
そんなわけで、今年も引き続きマイペースで、撮影・現像・スキャンの手順を踏みながら、少しタイムラグのある記事をご覧いただくことになるかと思います。
昨年、根室本線が一区切りついてから、小湊鐵道、市電(函館・広島・熊本…)、そして三岐鉄道北勢線をよく訪れています。
どれも、愛らしく魅力的な鉄道風景が、イベントではなく、日常で繰り広げられていて、今年もじっくり撮りたいと思います。
そして、3月のダイヤ改正で、宗谷本線の抜海駅が遂に廃止になります。初めて訪れてからもう45年が経ちますが、とても思い入れのある駅です。残り少ないですが、再度訪れることができればと思っています。
なお、本年3月28日から4月2日まで、富士フイルムフォトサロン札幌で、「根室本線-大地の軌跡」巡回展を開催することになりました。近くなりましたらまた当ブログでご案内いたします。
それでは本年の一作目、吹雪に霞む抜海駅です。

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暴風雪
息もできない暴風雪が、途切れることはなかった。
そこに駅があるだけで、少しだけ救われた。
宗谷本線 抜海 ROLLEIFLEX V Tessar 75mmF3.5 T E100S

Vol.1948

2024年12月31日 (火)

2024 今年の1枚 追憶  深川俊一郎

今年も一年お付き合いいただき、ありがとうございました。
長年撮り込んできた根室本線の富良野-新得間は、残念ながら3月31日に営業を終了しました。それに合わせて集大成として個展を開催し、モニター画面ではなく銀塩プリントを多くの方々にご覧いただき、また写真集というかたちを残せたことは、嬉しい限りです。
さて、今年の1枚は「追憶」です。2月を最後に北海道へ行くこともなくなりましたが、その反動か、近くて魅力的な鉄道風景に触れ合える小湊鐵道に、今まで以上に惹かれています。
里山の夏の鉄道風景は、瞬時に童心に返してくれます。
それでは皆さまどうぞよいお年をお迎えください。

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追憶
ホームに佇む小さな列車が、記憶のレールを走っていった。
小湊鐵道 上総中野 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

Vol.1943

2024年12月27日 (金)

遅い秋-小湊鐵道2024③  深川俊一郎

あれが秋だったと、季節がぐっと進んでから思い返します。
秋は本当に、瞬く間に過ぎていきました。

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花薄
穂波が少し寂しげに踊っていた午後。
小湊鐵道 上総村上-海士有木 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ(+1)

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黄色いこはるび
大銀杏が見守る小さな駅は、柔らかな西日に包まれていた。
小湊鐵道 上総大久保 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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秋陽
懸命に照らす秋陽を追いかけるように、山陰がすぐそこまで迫っていた。
小湊鐵道 上総大久保 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T*+2XE RDPⅢ

Vol.1939

2024年12月15日 (日)

夢の中へ-小湊鐵道2024  深川俊一郎

早い日暮れとともに、小さな駅たちが、楽し気に唄い出します。
蒼い光を放つ列車とともに、里山の夜を華やかに彩るのです。

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トワイライト
蒼い光が澄み切った夕空に吸い込まれてゆく。
小湊鐵道 高滝-里見 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ(+1)

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夢の中へ
さあ行こう、夢の中へ。
小湊鐵道 月崎 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ(+1)

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小さな宴
暗闇の向こうから囁くような歌声が聞こえてきた。
小湊鐵道 上総川間 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ(+1)

Vol.1935

2024年12月 3日 (火)

暮秋の只見線2024  深川俊一郎

只見線を訪れるのは、再開通した2022年10月以来、2年ぶりです。
今回、撮影目的ではなかったのですが、たまたま訪れる機会があり、合間に撮影した数カットをご覧いただきます。

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暮秋①
暮秋の11月にもかかわらず、浅草岳には雪がなかった。
雲一つない小春日和だった。
只見線 只見-大白川 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ(+1)

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暮秋②
分厚い雲の奥から、僅かに陽の気配が感じられた。
速い雲の流れが、足踏みしていた季節の背中を押す。
只見線 会津横田-会津大塩 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ(+1)

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暮秋③
復旧した新しい第7只見川橋梁と、見慣れぬ新しい車輌。
それでも山峡を覆う朝霧は変わらない。
只見線 会津横田-会津大塩 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ(+1)

Vol.1931

2024年11月21日 (木)

遅い秋-小湊鐵道2024②  深川俊一郎

今年は十五夜・十三夜ともに、冴え冴えとした秋空のなか、まばゆい月を拝むことができました。
里山の月の出は、褐色の少し寂しげな空気に包まれています。

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黄昏月
少し色褪せた夕刻の空に、月の輪郭が浮き出てきた。
小湊鐵道 月崎-上総大久保 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

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十三夜
まばゆい十三夜が、煌々と里山を照らす。
小湊鐵道 上総鶴舞-上総久保 HASSELBLAD 201F Planar FE 110mmF2 T* RDPⅢ

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月影の駅
静かで神秘的な月夜だった。
小湊鐵道 高滝 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

Vol.1927

2024年11月 9日 (土)

遅い秋-小湊鐵道2024  深川俊一郎

これほど季節の変わり目が分かりにくかったことは、記憶にありません。
先を歩く暦を追いかけながら、少しずつ後ろを振り返ります。

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わすれもの
ホームのはずれでみつけた、夏のわすれもの。
小湊鐵道 上総村上 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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橙色の夕べ
橙色の風に乗って、笑い声が聞こえてきた。
小湊鐵道 上総川間 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T*+2XE RDPⅢ

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涼風
産毛のようなススキの穂が、涼風に揺れていた。
小湊鐵道 上総川間-上総鶴舞 HASSELBLAD 201F Planar FE 110mmF2 T* RDPⅢ

Vol.1923

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