2022年7月 3日 (日)

北へのいざない-二色塗りの小さな気動車③  深川俊一郎

根室本線の富良野-新得(東鹿越-新得はバス代行)が、いよいよ自治体を含めて鉄路としての存続を断念する方向です。残された日々が決して長くないことは想像に難くないので、次の季節は再び撮ることができない覚悟で向き合っています。
令和3年に根室本線全通100周年他の記念で、釧路運輸車両所のキハ40が2両ほど二色塗りに化粧直しされ、新得以東を走りました。これは往年のキハ22を模したものです。新車当時は朱色一色(首都圏色)で登場したそのキハ40も、令和4年3月のダイヤ改正で釧路支社から引退しましたが、廃車を免れた数両が旭川運転所に転属。二色塗りの2両もその中に含まれ、この春から根室本線の富良野-東鹿越にも姿を見せるようになりました。
最期が迫るこの鉄路に、私にとって原点である二色塗りの気動車が現れるとは何かの縁。出会える確率は低いですが、期待に胸を膨らませて臨みたいと思います。

22024
残雪遥か
随分と早い夜明けが、時計の針を大きく追い越していた。
眩しい残雪に、眠たい身体がまだ少し追いつかない。
根室本線 布部-山部 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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息吹き
森の奥から湧き出るように木々が息吹く。
白く閉ざされていた厳しい冬は、いつの間にか大地の奥底に眠ってしまった。
根室本線 金山-東鹿越 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T*+2XE RDPⅢ

22025
浅春
浅い春は清冽で心が洗われる。
遠くの線路を二色塗りの気動車がのんびりと、そして確かな足取りで走っていった。
根室本線 布部-山部 HASSELBLAD 201F Planar FE 110mmF2 T* E100

Vol.1629

2022年6月21日 (火)

北へのいざない-二色塗りの小さな気動車②  深川俊一郎

時は流れて時代は平成になり、二色塗りの気動車のことは記憶の奥底に埋もれかけていた頃…各地でちらほらと復刻の噂が聞こえてきました。
それらを追いかけて岩手の岩泉線や山田線まで赴きましたが、狙ったタイミングに、しかも一両編成で来るとは限らず、なかなか困難を極めました。
そんななかで、足繁く通うようになったのは大糸線です。もともと南部の松本-南小谷は馴染みのある路線でしたが、北部の非電化区間である南小谷-糸魚川はほとんど記憶にないくらいで、ここのキハ52(山岳地帯用)が二色塗りで走っているということで、期待を込めて訪れることにしました。
さすがにフォッサマグナの険しい地形をゆく大糸線に、北海道の面影をこじつけるのは無理がありますが、それはそれ、割り切って楽しむことにしたのです。
平成18年~22年頃の話です。この大糸線も、今や鉄路としての存続が取りざたされています。

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山塊微笑む
頸城駒ヶ岳の断崖絶壁の向こうには、残雪眩しい雨飾山が穏やかに構えている。
暖かく澄んだ西日に二色塗りの気動車が輝いていた。
大糸線 頸城大野-姫川 HASSELBLAD 500CM Sonnar C 150mmF4 T* E100G

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初夏の山村
深緑色の湿気が心地よい初夏の山村。
赤とクリームの色合いは緑の森によく似合う。
大糸線 根知-頸城大野 HASSELBLAD 500CM Planar CF 80mmF2.8 T* E100G

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いつかの道
どこまでも歩いていきたくなる夏の道。
小さな気動車は遠い記憶を呼び覚ます。
大糸線 北小谷-平岩 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100G

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姫川の夏
水音と歓声と列車の音が入り混じって、いつまでも耳に残っていた。
川風に乗ってふと通り過ぎて行った夏の日。
大糸線 南小谷-中土 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100G

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氷雪輝く
冬の流れは清冽でたおやかだ。
青白い夜明けに霧氷が小さく咲き誇る。
大糸線 南小谷-中土 HASSELBLAD 500CM Planar CF 80mmF2.8 T* E100G

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けものみち
小さな足跡は向こうの雪壁へと吸い込まれていった。
静寂を破るように谷底から二色塗りの気動車が現れた。
大糸線 中土-北小谷 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100G

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残照の駅
赤紫の残照が宵闇に飲み込まれてゆく。
そこだけ時がゆっくりと流れていた小駅。
大糸線 平岩 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100G

Vol.1625

2022年6月 9日 (木)

ブログ開設10周年記念 北へのいざない-二色塗りの小さな気動車①  深川俊一郎

季節外れの真夏日を記録した5月が終わり、長い梅雨を予感させる頃、私たちのブログは10年の節目を迎えました。
しばしばネタに悩み期日に追われながらも、いつしか10年が経過したという感じです。
ご覧いただいている皆様には、深く感謝申し上げます。そしてこれからも、お付き合いいただければ幸いです。

ご存じのとおり、北海道の鉄路は今まさに岐路に立たされています。これまでも何らかの節目では過去の作品をお披露目してきましたが、今回は私のライフワークである北海道にちななんで、「二色塗りの小さな気動車」をテーマに数回に分けてご覧いただきます。
少しマニアックな話になりますが、過去のブログ(平成最期の日、平成31年4月30日)で、私が北海道に向き合う原点が「とある本に載っていた、原野をポツンと走る気動車の写真」であることを書きました。赤とクリームの二色塗り、いわゆる国鉄一般色のキハ22です。この塗装は昭和57年頃には無くなりましたが、その後数十年を経て一部で復刻し、昨年も北海道で話題になりました。
気が付けばこの「二色塗りの気動車がポツンと原野を行く光景」に強く惹かれる自分がいて、北海道のみならずその後各地のローカル線に赴くことになるのです。
それでは特別企画の第1回目、北海道を行く現役時代の二色塗り気動車です。時は昭和54年~56年頃で私は高校生。初めて北海道を訪れた頃です。拙い写真ですが、暫しお付き合いいただければ幸いです。

さいはての鉄路…宗谷本線・天北線

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さいはての道
延々と続く熊笹の丘陵の向こうに、利尻富士が現れた。
この時「さいはて」という響きを初めて実感した。
宗谷本線 抜海-南稚内 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KM

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初めて降り立った抜海駅は、少し強めの風にフランスギクが揺れていた。
不意の線路故障で、思いがけない楽しいひとときが待っていた。
宗谷本線 抜海 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KM

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風鳴りの大地
鳴りやまない風の隙間から、ほんの一瞬大地が照らされた。
北辺の鉄路は細いけれど頼もしかった。
宗谷本線 抜海-南稚内 minolta XD MD TELE ROKKOR 135mmF2.8 KR

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広漠の原野
曇天もこれだけ広いと見事だと開き直るしかなかった。
もう1週間太陽を見ていなかった北の果て。
天北線 芦野-鬼志別 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

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終列車
小さな終列車が宵闇に吸い込まれていった。
それを見届けてから、駅員さんに頼んでホームの小さな待合室で寝かせてもらった。
天北線 鬼志別 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR


根釧台地の風に吹かれて…標津線

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遥かな大地
草原の少し甘い匂いが頭上をかすめていった。
パイロットファームをゆく二色の小さな気動車は、私の心の奥底にある原風景だ。
標津線 春別-協和 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KM

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遠い夏道
単に平坦ではなく起伏がある方が、より広さを実感することを知った。
どこまでも続く夏道が陽炎に揺れていた。
標津線 奥行臼-厚床 minolta XD MD TELE ROKKOR 200mmF4 KR

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寂しげな車内
日が暮れると不意にホームシックに駆られた。
白熱電球の車内が寂しさに一層輪をかけた。
標津線 車内 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KM


水辺の寂寥感漂う…湧網線

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青い水辺
月見が浜という名のこの静かな水辺は、真昼の青さも見事だった。
心に染みた夏の日の静寂。
湧網線 芭露-志撫子 minolta XD MC W.ROKKOR 24mmF2.8 KM

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青空の駅
北国の短い夏休みを、青空が優しく包み込んでいた。
塗装簡略化に向けた朱色一色(首都圏色)が増えてきた頃だった。
湧網線 常呂 minolta XD MC W.ROKKOR 24mmF2.8 KM

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秋の気配
オホーツクの涼やかな風が肌に心地よかった。
かつて湧網線が走っていた常呂の町は、今やカーリングの聖地としてその名が知られている。
湧網線 常呂-能取 minolta XD MD ROKKOR 50mmF1.7 KM


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たそがれの小道
風のない穏やかな夕刻に、二色の気動車が輝いていた。
黄昏時の描写は、同じコダクロームでも64(KR)だと重厚な赤銅色になる。雑味のない澄んだ黄金色は25(KM)のみが再現でき得るので、私は好んでKMを使った。
湧網線 芭露-志撫子 minolta XD MD TELE ROKKOR 135mmF2.8 KM

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ともしび
「二色塗り・一両編成・車内が白熱電球」にとてもこだわっていた。その少し寂しげな情緒を表現したかった。
夜景でも1/2秒・手持ちで平気に撮っていた。
湧網線 計呂地 minolta XD MC W.ROKKOR 35mmF1.8 KR

Vol.1621
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2022年5月27日 (金)

路面電車紀行-五月晴れの函館市電  深川俊一郎

海風が少し暖かくなれば、港町は爽やかな陽光に包まれます。
雪が完全に消えた街は、どこかスッキリと広く感じるのです。

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ひととき
車内は眩しい朝陽に溢れていた。
函館市電 車内 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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信号待ち
信号待ちの僅かな時間も少し気がせく。
函館市電 杉並町 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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函館山遠望
雪が消えた電車道は、こんなに広かったのかと実感する。
函館市電 中央病院前-千代台 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

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萌黄色の風
萌黄色の電車が新緑の函館山に溶け込んでゆく。
函館市電 末広町-大町 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

Vol.1617

2022年5月15日 (日)

やわらかな春-小湊鐵道③  深川俊一郎

春の宵が、里山を静かにゆっくりと包み込みます。
少しひんやりした空気が、優しく肌に残るのです。

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静謐な時
小さな列車が宵の静寂に飲み込まれてゆく。
小湊鐵道 上総川間-上総鶴舞 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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里山の夕べ
赤紫から群青色へのグラデーションが里山を優しく包む。
小湊鐵道 上総川間 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

Vol.1613

2022年5月 3日 (火)

やわらかな春-小湊鐵道②  深川俊一郎

菜の花に誘われるように、桜が咲き誇ります。
田んぼに水が引かれると、春の賑わいは最高潮に達します。

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散り始め
桜は散り始めが最も華やかで美しい。
小湊鐵道 月崎 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

22016
あたたかな日
足元には柔らかいタッチの絵画が広がっていた。
小湊鐵道 上総川間 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

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微風のみち
線路端には凝縮された春があった。
小湊鐵道 里見-飯給 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T*+2XE RDPⅢ

Vol.1609

2022年4月21日 (木)

やわらかな春-小湊鐵道①  深川俊一郎

甘い香りが漂う頃、足は房総の小さな鉄道へと向かいます。
寒かった冬を一瞬で忘れてしまう程のやわらかな春が、そこにはありました。

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甘い香り
甘い香りに微かに眠気を催した春の日。
小湊鐵道 里見-飯給 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T*+2XE RDPⅢ

22020
道端の春
道端の小さな駅に寄り道しながら、列車はのんびりとゆく。只見線の車両もすっかり小湊に馴染んでいる。
小湊鐵道 上総川間 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

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黄色いアロマ
濃厚な黄色いアロマが、そっと鼻先を掠めていった。
小湊鐵道 高滝-里見 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

Vol.1605

2022年4月 9日 (土)

遥かなる旅愁-氷雪の舞台③  深川俊一郎

等圧線の間隔が極度に狭まり、低気圧が猛威を振るいます。
風雪は止むことなく北の大地をさらいます。

22014
埋もれたホーム

目の前のホームがとても遠くに見える。
今日も朝から運休だ。
根室本線 下金山 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ

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来ない列車

雪が少し小降りになって来た。
それでも列車はやってこない。
根室本線 下金山-金山 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ

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見えない線路

線路が跡形もなく隠れてしまった。
列車が来ないのは何とも心細い。
根室本線 金山 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ

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鳴らない踏切

数メート先の踏切が霞んできた。
その日は吹雪が止むことはなかった。
根室本線 布部-山部 HASSELBLAD 500CM Sonnar C 250mmF5.6 T* RDPⅢ

Vol.1601

2022年3月27日 (日)

遥かなる旅愁-氷雪の舞台②  深川俊一郎

東へと向かう列車は、そこはかとない孤独感を滲ませます。
空と大地の多彩な表情が、置き忘れた旅愁を呼び覚ますのです。

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地吹雪のあと

身体を持っていかれそうな地吹雪が止むと、大地にはその文様が描かれていた。
気が付けば薄紫の夕暮れ時がすぐそこに迫っていた。
根室本線 御影-芽室 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100

22012
雪雲襲来

厚い雪雲が大地を飲み込んでゆく。
残された陽光は僅かに行く道を照らす。
根室本線 厚内-音別 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100

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最果ての道

細い細い道は東へと続く。
寂寥感も益々募ってゆく。
根室本線 厚岸-糸魚沢 HASSELBLAD 500CM Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T* E100

22005
落日

東の果ては落日も早い。
一瞬の輝きがいつまでも瞼に焼き付いていた。
根室本線 別当賀-落石 HASSELBLAD 500CM Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T*+2XE E100

Vol.1597

2022年3月15日 (火)

遥かなる旅愁-氷雪の舞台①  深川俊一郎

大寒の頃、北の大地は最高気温すらマイナス10度を下回ることもしばしばです。
陽は低くて短く、繊細で厳かな光景が繰り広げられます。

22006
残月

雲の切れ間からおぼろげに残月が現れた。
入れ替わるように山稜のモルゲンロートが目覚めを促す。
根室本線 山部-下金山 HASSELBLAD 500CM Sonnar C 150mmF4 T* E100

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極寒模様

霧氷のグラデーションが極寒に揺れている。
小さな列車は孤独の道を辿ってゆく。
根室本線 金山-東鹿越 HASSELBLAD 500CM Sonnar C 150mmF4 T* E100

22006_20220313140802
大寒

一日中凍てつく日であった。
昼を過ぎても霧氷が散らずに残っていた。
根室本線 布部-山部 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100

22007
薄暮の大地

早々に陽が山の端に隠れてしまった。
残された足跡が少し寂しげに横切っていた。
根室本線 布部-山部 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* E100

Vol.1593

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