2025年5月18日 (日)

路面電車紀行-熊本市電5014号車引退①  深川俊一郎

去る2月22日に、私のお気に入りであった熊本市電5000形5014号が引退しました。
当ブログで何度かご覧いただきましたが、その佇まいが何とも琴線に触れるというか、惹かれてしまい、幾度も熊本まで足を運ぶことになったのです。
ここ数年は平日朝のB系統(上熊本-健軍町)1往復だけの運用でしたが、最後の3日間はA系統(田崎橋-健軍町)でも特別運行され、その愛らしい姿をたっぶり堪能して、見送ることができました。

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土曜の朝
光る電車道が眩しかった土曜の朝。
(普段は平日しか走らないので、土曜日に走る姿は貴重だった)
熊本市電 水道町-九品寺交差点 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T* RDPⅢ

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古参同士
登録有形文化財にクラシカルな容姿がよく馴染む。
(A系統は狭い路地を縫うように走る)
熊本市電 慶徳校前-辛島町 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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冬ざれの電車道
かわいた寒風が電車道を吹き抜けてゆく。
(裏通りの狭い電車道に、冬の日差しが溢れていた)
熊本市電 祇園橋-呉服町 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T*+2XE RDPⅢ

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二月の午後
澄み切った冬空にシックな塗装が映えていた午後。
(白川に架かる大甲橋は、熊本市電随一の橋。車と被さらなかったのが幸いだ)
熊本市電 水道町-九品寺交差点 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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夕映え
柔らかな西日が優しく照らしてくれた。
(私は車両マニアではないが、この愛らしい電車は画面いっぱいに捉えたかった)
熊本市電 熊本駅前-祇園橋 HASSELBLAD 201F Tele-Tessar FE 250mmF4 T*+2XE RDPⅢ

Vol.1992

2025年5月 6日 (火)

落花盛ん-小湊鐵道2025  深川俊一郎

毎年東京の開花宣言よりも一足先に咲く、近所の桜があります。今年は開花から最後の一輪が散るまで数えたら、何と25日間でした。
長かった今年の桜が、惜しげもなく舞ってゆきます。

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春の入口
小さな扉の向こうに、柔らかな春が待っている。
小湊鐵道 高滝 HASSELBLAD 500CM Planar CF 80mmF2.8 T* RDPⅢ

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片隅の春
花びらが気まぐれに舞ってきた。
小湊鐵道 高滝 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ

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花盛り
植えたてのキンセンカが、曇天を明るく照らしていた。
小湊鐵道 高滝-里見 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ

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落花盛ん
散り際は寂しいけれど、一番美しい。
小湊鐵道 高滝 HASSELBLAD 500CM Planar CF 80mmF2.8 T* RDPⅢ

Vol.1988

2025年4月24日 (木)

地元の桜2025  深川俊一郎

札幌の巡回展に出発した3月下旬は、東京の桜が咲き始めの頃でした。一週間の会期中に散ってしまうのではないかと心配していましたが、寒の戻りで足踏み。帰京すると陽気も春らしく、遅れた満開の桜を楽しむことができました。
外濠は私の散歩コースで、徒歩圏の一番近い桜と列車ですが、今年の話題は何といっても、中央線の二階建てグリーン車です。無料期間に一度乗りましたが、いつもの車窓がちょっとした旅気分で堪能できました。

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競演
軽快に追い抜く快速電車は、グリーン車登場で一際光っていた。
中央本線 飯田橋-市ヶ谷 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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妖花
水辺の桜が静かに咲き誇っていた朝。
中央本線 飯田橋-市ヶ谷 HASSELBLAD 201F Planar FE 110mmF2 T* RDPⅢ

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足元の春
ゆっくりとどこまでも歩きたくなる散歩道
中央本線 飯田橋-市ヶ谷 HASSELBLAD 201F Distagon FE 50mmF2.8 T* RDPⅢ

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花見列車
見慣れた通勤電車なのに、「列車」という呼び名が似合っていた。
中央本線 飯田橋-市ヶ谷 HASSELBLAD 201F Planar FE 110mmF2 T* RDPⅢ

Vol.1984

2025年4月12日 (土)

北へのいざない-宗谷本線2025⑦  深川俊一郎

巷では長かった今年の桜が落花盛んな頃、私の冬のページも今回が最後です。
札幌で開催した巡回展も無事終了しました。多くの北海道の方々(中には偶然本州から来られた方々)とお話しでき、作品に関する感想や御講評などたくさん頂戴し、銀座とはまた違った雰囲気で、とても楽しく充実した一週間でした。
さて話は変わりますが、数日前桜の撮影中に、重大な機材トラブルが発生しました。今後の私の写真人生を左右するほどの重大な出来事であり、現在熟考を重ねています。その話は改めて後日この場でご報告いたします。

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黄昏遥か
雪雲は強風とともに去っていった。
夕刻と宵闇の狭間に北の大地がのまれてゆく。
宗谷本線 下沼-豊富 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ(+1)

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冷月
冬の冷たい月が好きだ。
眠りかけた大地が微かに薄目を開ける。
宗谷本線 兜沼-勇知 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ(+1)

Vol.1980

2025年3月30日 (日)

北へのいざない-宗谷本線2025⑥  深川俊一郎

最北の鉄路には、青い特急列車が似合います。
厳しい風雪に立ち向かうその姿は、今どきの列車の中でも特に魅力的です。

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氷霜のみち
白く霞んだ朝だった。
温度と湿度が織りなす造形がそこにはあった。
宗谷本線 美深-天塩川温泉 HASSELBLAD 500CM Sonnar C 250mmF5.6 T* RDPⅢ(+1)

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鈍色の大地
鈍色の寒風が頬に突き刺さる。
北の大地を象徴する今どきの光景だ。
宗谷本線 勇知-抜海 HASSELBLAD 500CM Sonnar C 250mmF5.6 T* RDPⅢ(+1)

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雪雲襲来
鼠色の絵の具を厚塗りしたような空だった。
弱々しい陽射しは一瞬で吸い込まれた。
宗谷本線 佐久-天塩中川 HASSELBLAD 500CM Tele-Tessar CF 350mmF5.6 T*+2XE RDPⅢ(+1)

Vol.1976

☆写真展開催中
根室本線-大地の軌跡(札幌開催)
富士フイルムフォトサロン札幌(札幌市中央区大通西6丁目1番地)
2025年3月28日(金)~4月2日(水)
10:00~18:00(会期中無休・入場は17:50迄)
https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/sapporo/25032801.html

☆写真集発売中
根室本線-大地の軌跡
発行:共同文化社
https://www.kyodo-bunkasha.net/items/82060722
写真展会場では数量限定ですが特別価格で販売中です!

2025年3月20日 (木)

写真展開催のご案内  深川俊一郎

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☆写真展 根室本線-大地の軌跡(札幌開催)

厳しくも美しい北海道の大地を舞台に、光り輝く小さな列車がゆっくりと辿ってゆく…
根室本線の富良野~新得間81.7㎞が営業終了し、この3月31日ではや一年が経過します。
昨年3月に富士フォトギャラリー銀座で開催した写真展を、再構成して札幌で開催します。
北海道を舞台にした作品を当地で開催できることは、大変喜ばしい限りです。
この区間は、根室本線の中でも森と湖と大地が織りなす繊細で美しい光景が広がり、そこを辿る小さなローカル列車は、北への旅愁を誘う魅力にあふれています。
このかけがえのない光景を永遠の記憶として残し、伝えたいと思います。
銀座で開催の際は、デジタル一辺倒の昨今、緻密で奥行きのある6×6判フィルムカメラと高精細な大伸ばしプリントの表現に、多くのご評価の声を頂戴しました。
北海道の皆様のご来場をお待ち申し上げます。

富士フイルムフォトサロン札幌(札幌市中央区大通西6丁目1番地)
2025年3月28日(金)~4月2日(水)
10:00~18:00(会期中無休・入場は17:50迄)
https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/sapporo/25032801.html


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☆写真集 根室本線-大地の軌跡 発売中

発行:共同文化社
定価:2,420円(税込み)
https://www.kyodo-bunkasha.net/items/82060722

写真展会場では数量限定ですが特別価格で販売します!

2025年3月18日 (火)

北へのいざない-宗谷本線2025⑤  深川俊一郎

3月14日を最後に、抜海駅は廃止されました。
さいはての寂寥感漂うこの大地にかつて駅があったことなど、いずれ忘れ去られる日が来るのでしょうか。

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さいはての駅
私が抜海駅を訪れたのは、これが最後になった。
吹雪に閉ざされたその姿を、そっと瞼に焼き付けた。
宗谷本線 抜海 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ(+1)

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初めて抜海駅に降り立った時に買った入場券。よくある記念モノではない、純粋にその駅の証として…

Vol.1972

2025年3月 6日 (木)

北へのいざない-宗谷本線2025④  深川俊一郎

(前回より続きます)
私が学生の頃の宗谷本線には、旭川発稚内行の、321列車が走っていました。
私はぎりぎり蒸気機関車現役世代ではありませんので、牽引機はDD51でしたが、旧型客車の長距離普通列車の旅情は味わい深いものがありました。
一日の撮影を終えると、抜海駅から夕刻の321列車で稚内の街を目指すのでした。

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時刻表には上下6本ずつの列車が書かれており、そのうちの1本ずつは客車列車だ。①

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長距離列車が到着すると、にわかに駅が活気づく。②

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稚内に向けてもう一息だ。③

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寂しさをホームに忘れてきた、さいはての駅。④

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321列車の走行写真が撮りたくて、日没迫る原野を彷徨った。
夕闇の長い帰り道は、とても心細かった。⑤

稚内行
①~④宗谷本線 抜海 minolta XE MC W.ROKKOR 24mmF2.8 TX
⑤宗谷本線 抜海-南稚内 minolta XE MD TELE ROKKOR 135mmF2.8 TX

Vol.1968

2025年2月21日 (金)

北へのいざない-宗谷本線2025③  深川俊一郎

北海道へ行き始めた高校生の頃、宗谷本線や天北線が撮りたくて、よく宗谷地方を彷徨いました。
夏の初め、冷たいオホーツク海高気圧が居座ると、太陽をみることはなく、寂寥感が一層増すのでした。


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もう何日太陽を見ていないだろうか。

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駅から続く一本道がどこか寂しい。

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駅は相変わらず温かだった。

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箱庭の利尻富士が迎えてくれた。

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風が冷たくなってきた午後。

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列車は時刻通りにやってきた。

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再び長い静寂が訪れた。

曇天の駅
宗谷本線 抜海 minolta XE MC W.ROKKOR 24mmF2.8・35mmF1.8 TX

Vol.1964

 

2025年2月 9日 (日)

北へのいざない-宗谷本線2025②  深川俊一郎

日本最北の駅は言わずと知れた稚内ですが、現在の駅舎は観光施設と一体化した、近代的で機能的な駅です。
その2つ手前、荒涼とした原野に佇む駅、抜海。北の果てを実感する寂しい駅です。私は勝手に「さいはての駅」と呼んでいます。
少し昔の作品も含めて、数回にわたりご覧いただきます。

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寂寞な夜
分厚い雪雲の隙間から、青白い月が覗いた。
一日の下り列車のうち、今では三本目が終列車だ。
宗谷本線 抜海 HASSELBLAD 500CM Distagon CF 50mmF4 T* RDPⅢ(+1)

Vol.1960

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