2020年7月 6日 (月)

リビングストーン 汽車を訪ねて(その3) ローカル線を見にゆく  服部一人

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鉄道博物館の横から原野の彼方に延びているように見える線路

 

先回の記事で紹介したリビングストーン鉄道博物館(http://blog.rail-on.com/2020/06/post-2dd251.html)で館内の説明文を読んでいると、この博物館は元々はザンベジソーミルズ(ZAMBEZI SAW MILLS)という製材会社の長大な森林鉄道の機関庫だったという記述があった。森林鉄道といっても日本でイメージするようなナローゲージではない。JRと同じ1067ミリ軌間で大型の蒸気機関車が運行する本格的なものだったらしい。

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こちらが館内に飾ってあった森林鉄道時代の写真。記述によれば、このリビングストーンから良質のチークを求めて全盛時は総延長180キロ近い奥地まで線路が延びていたという。ぜひそういう時に訪れてみたかったものだ。

森林鉄道自体は1970年ごろにやめてしまったようだが、現在でもおよそ160キロ先のムロベジという町まで線路は存在し、ザンビア鉄道が週に1往復、混合列車を走らせているということがわかった。これで俄然興味が湧いて、ぜひ、その混合列車が見たいという気持ちが高まった。

しかし、さらに調べてみると、たかだか160キロの距離を2日もかけて走る列車らしい。いったい表定速度はどれくらいだろう。どうも保線が非常に悪くて、粗末な線路をごく低速でソロリソロリと走っているような感じらしい。さらに訪れた日には運行がない。何日も先まで待つこともできず、残念無念。

しかし、せめてこの先の線路や駅がどうなっているのかくらいは見てみたいものだ。グーグルマップによると道路と線路は並行しておらず、またけっこうな悪路であることが予想された。でも途中駅くらいまではなんとか行けそうだ。さいわい借りた車は四輪駆動車だし、ひとりで未知の田舎道を走るのはいささか心細いが、結局好奇心が勝って行ってみることにした。

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半分砂に埋もれたような線路が続く。しばらく列車は走っていない感じがする。グーグルマップを頼りに、線路から離れたり近づいたりしながら道をたどる。予想したように粒子の細かい砂の深い悪路だが、今は乾季で雨が降らないので四駆なら進むことができそうだ。

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そうやって走っていると線路の先に貨車が見えた。どんどん近づいていくと放置された貨車が荒れ果てた状態で置いてある。すぐ横には民家があり、この貨車を倉庫がわりに使っていた。

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近くに人がいたので聞いてみると、確かに混合列車は走っているらしい。ここに列車が来るのはいつも夜だと言っていた。そして、ここは駅だという。ホームも何もないが列車は停車し、乗降客もいるらしい。

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言われてみると少し先に駅名標があった。カランバという駅らしい。貨車は長いこと使われていないらしく中はすっかり倉庫で、車輪には子供の落書きがあった。

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近くにはこんなもの ↓ もあったので、これはゲージの調整や確認に使うものだろうか。家の人に聞いてみたがよくわからなかった。

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こちらの方はここで牛飼いをやっていて、ちょうど井戸から水をくみ上げて飲ませているところだった。よく見ると井戸の囲いも金属製の枕木のお古のようだ。

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さらにもっと奥地に進みたい気持ちもあったが、午後になってだんだんと日も傾いてきた。帰路の時間も考えると、ここらへんが引き返す潮時だろう。地図を見れば起点のリビングストーンからおよそ60キロくらいの地点だった。

こんなローカル線がいまだに残っているのは多少の需要があるからだろう。あとで駅で調べてみると運賃は格安で田舎の沿線住民にはありがたいことだろう。そして終点のムロベジを結ぶ道路は砂の深い悪路で、雨季にはかなりぬかるんで普通の自動車にとってはかなり難渋するはずだ。

そんなところが存続の理由だろうが、一度走っているところを見たかったものだ。でも、まぁ、未知のローカル線を探訪しただけでも、それなりに楽しい1日であった。

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FUJI X-T3, X100F, XF23/2,  16-55/2.8               VOL.1378

 

2020年6月24日 (水)

リビングストーン 汽車を訪ねて(その2) リビングストーン鉄道博物館  服部一人

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リビングストーンには屋外の鉄道博物館がある。駅から南に徒歩10分程度、かつて機関庫だったところが今は博物館になっている。まぁ、率直なところ野ざらしに近い状態なのだけれど、それでもガーラットをはじめとする大型の蒸気機関車が何両も展示してあって、近づいてみると、やはりその大きさに圧倒される。これが日本と同じ1067ミリゲージというのも不思議な気がする。日本でD51を間近で見ることに比べると明らかにふた回りくらい大きい。

実はここには25年くらい前に1度来たことがある。その時の写真を見ると、さして博物館の雰囲気は変わらない。当時から野ざらしの展示だった。でも車両の塗装はしているようだ。

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FUJI X-T2, X-100F,  XF16-55/2.8, XF23/2                               VOL.1374

 

2020年6月12日 (金)

ブログ8周年記念 リビングストーン 汽車を訪ねて   服部一人

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多くの方々にご覧いただきまして、おかげさまで8周年を迎えることができました。本当にありがとうございます。少し過去を振り返りますに、自分の投稿はやはり一番好きな汽車やローカル線、トラムがたびたび登場します。今回も8周年記念ということで、アフリカの蒸気機関車を取り上げます。お付き合いください。

少し前にアフリカ中央部のザンビアの国境の町、リビングストーンに行って汽車を見てきた。リビングストーンは世界三大瀑布、ビクトリアフォールズの滝で知られる世界的な観光地だ。

多くの人が観光に訪れるここにはアトラクションとして蒸気機関車の列車が運行されている。運転区間はごく短いものの、古き良き時代を模した客車を牽引する生きた蒸気機関車は貴重だ。運転はザンビア国鉄の線路を借りて、民間の旅行会社が企画したツアーという形を取っている。

この会社ではさらに大型のガーラットも現在整備中で、ゆくゆくは復活させたいと目論んでいるようだ。アフリカの雄大な自然を背景に巨大なガーラットが引く列車を見られる日が来るだろうか。

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FUJI X-T2, XF16-55/2.8,  EF70-200/4                               VOL.1370

 

2020年5月30日 (土)

日の傾くころ   服部一人

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オスロ ノルウェー

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アムステルダム オランダ

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バートシャンタウ ドイツ

撮影に出て、日がな線路端で過ごし、午後の遅い時間、ぼちぼち日も暮れようとするころ。

一日撮影して少々くたびれてきたけれど、夕方の斜光線でもうひとがんばり。

撮影も終わり、帰路に着くころ、日も落ちて、まだ明るさの残る空に浮雲。

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リューゲン島 ドイツ

CANON EOS 5DⅡ EF70-200/4 IS, Makro-Planar50/2, Distagon35/2  FUJI X-T2 FUJINON XF 18-55/2.8-4 

2020年5月18日 (月)

ゆとりーとライン 名古屋ガイドウェイバス   服部一人

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駅に進入するバス。バス停留所というより駅といったほうがふさわしいような立派な施設。

駅はモノレールやゆりかもめに近い感じ。

見た目はまったくバスだけれど、法律上は軌道法による「鉄道」というのがガイドウェイバスである。
BRTと同じく専用道路を走る点でよく似ているが、あちらは道路交通法などによる書類上もバス、こちらはカテゴリーとしては鉄道である。扱いとしては路面電車のようなものである。

その違いはガイドウェイにある。専用道路上を走るときにはガイドウェイに従って走るので基本的にハンドル操作がいらない。確かに鉄道と似ている。
 
というわけで実際に乗ってみた。

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こちらがガイドウェイバス。車輪の横にガイド用の案内装置がついている。このローラー状のものがガイドウェイをトレースする。そしてこの装置はハンドルと連動していて前輪の向きを変える。
名古屋のガイドウェイバスは一般道も走るため、その際はこの装置は格納される。
見た目はまったくバスで乗り心地もバスそのものだが、軌道法なので、書類上は「気動車」で全般検査もある。さらに車検もある。

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こちらが専用道路。全線高架で立派なもの。ここをたった1両編成のバスが走るだけというのは施設設備が大げさすぎて、少しもったいない気もする。

FUJI X-T3, XF16-55/2.8                                               VOL.1362




 

 



2020年5月 6日 (水)

軽便の夢 美しい車両の数々 頸城鉄道   服部一人

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前回お伝えした旧頸城鉄道、今回はその美しい車両たちをご紹介。SL2号機は静態保存ですが、それ以外の車両はちゃんと動きます。構内をわずかに走らせるだけでも往時を偲ばせる雰囲気が伝わってきますが、見ているうちに夢想します。線路を延長して実際に列車が走ったら....。もしSLが煙を吐いて牽引したら....。

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ホジ3の内装。外観だけでなく内装も素敵。ガラガラいうディーゼルの音と振動で心地よいです。

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撮影会の最後には虹も出て、美しいひと時が....。

FUJI X-T2,T3,  XF16-55/2.8,  CANON EF70-200/4L    VOL.1358

2020年4月24日 (金)

軽便の夢 頸城鉄道   服部一人

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夕暮れの中、出発を待つ混合列車 というふうに見えないだろうか。静態保存のSLといえど、煙突から少し煙が出るだけで、ずいぶんと臨場感が出て「それらしく」なるのだ。

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かつて日本の地方にはたくさんの軽便鉄道があった。狭いレール幅、小さな車両、のどかな沿線風景、そういったものがかもし出す軽便鉄道の風情にはとても心惹かれるものがある。

そのかつて存在した軽便の中でも、新潟県の頸城鉄道は最も有名なものの一つだろう。今に至るまで語り継がれる伝説の軽便鉄道といってもいいかもしれない。

もちろん僕もその現役時代は知らない。今、僕のようにかつての軽便鉄道に憧れを抱く者の多くはその現役時代を知らず、写真集や雑誌などで見たなんとも言えない美しい情景にただただ想いを巡らすのみである。

先日、その頸城鉄道の遺構を使って仲間うちの撮影会が開かれた。現在は地元のNPO「くびきのお宝のこす会」が管理して「くびきのレールパーク」として運営し、年に数回の一般公開もしている。我々が訪れた日には特別に許可をいただき日没後の夜景まで撮影することができた。さらに専門の業者にお越しいただき、SLコッペル2号機の煙突から擬似的に煙を出すという凝った演出まで用意された。

春の始めの淡い宵闇に、つかの間だけど軽便の美しい夢を見たような気分だった。

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SLコッペル2号機に負けず劣らず貴重な産業遺産「ホジ3」今までなんども写真や模型で見てきたが、ついに本物に会う時がきた。こちらは動態保存でガラガラガラというディーゼルの音を響かせてゆったりと走る。赤いテールランプが印象的だった。

FUJIX-T2, T3, XF16-55/2.8, CANON EF70-200/4L                                                                  VOL.1354

頸城鉄道 旧百間町駅くびきのレールパーク(撮影は緊急事態宣言が出る以前の時期に、現地の特別な協力のもと、許可を得て行われました。)

 




2020年4月12日 (日)

芝山鉄道に乗ってみる   服部一人

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それほど遠くないところにあり、いつか行ってみたいと思いつつなかなか果たせない鉄道がいくつかある。この芝山鉄道もそのひとつだった。日本一短い鉄道と称するここは成田空港の真ん中にある京成東成田駅からたったひと駅、芝山千代田までの2.2キロである。

もともとは成田空港が建設される際、土地が分断されて交通が不便になる空港東側地域のために建設が約束されたという経緯がある。しかし実際には用地取得に難航し、開業したのは成田空港開港からずっと後の2002年のことである。

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今回は京成電鉄の成田空港第2ビル駅から東成田駅まで歩いてみた。地下通路がずっと続いており、その距離約500メートル。

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この訪問はまだコロナウイルスが流行する前の時。まだ海外旅行や入国に制限がなかった頃の土曜日午前中に出かけたのだが、東成田駅へとまっすぐ続く地下道はほぼ人通りがない。駅に到着する間にすれ違ったのは空港関係者と思われるたったひとりのみ。

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これが東成田駅。現在の空港第2ビル駅と成田空港駅ができる以前の1991年まではここが終点の成田空港駅だった。人々はここで下車し、徒歩かシャトルバスで成田空港まで向かったのだ。僕も何度か使ったことがあるのだが、あまり記憶にない。地味なターミナルで空港まであとちょっとなのに不便な駅だと思っていた。

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時刻表はこんな感じ。PASMOは使えません。そこで仕方なく切符を買う。ひと駅で200円。

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ホームには人影は無し。乗ったのは僕ひとり。車内もガラガラ。

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地上に出て高架を登ったかと思うとすぐに終点の芝山千代田駅。線路はここで行き止まり。すぐ横には空港の滑走路や建物が見える。

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かつてはこの先までの延長も検討されていたらしい。周囲にはコンビニとか売店はない。貨物関連の会社が近くにいくつもあるので車の往来はそこそこある。


FUJI X100F, XF23/2                                                          VOL.1350

2020年3月30日 (月)

軽便蒸機 夢の共演 羅須地人鉄道協会 成田ゆめ牧場   服部一人

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去る2月、成田ゆめ牧場にある羅須地人鉄道協会まきば線において、蒸気機関車による特別運転撮影会が開かれました。この日は早朝より天気も良く、気温も程よく下がり、美しい朝の光の中で存分に軽便蒸機の活躍を堪能しました。

かつて日本のあちらこちらに存在した軽便鉄道。ぼくは世代的にほとんど現役時代を知りません。写真集や雑誌を見てただただ憧れるのみです。しかし21世紀のいま、かつての情景が目の前に広がります。眼福でした。このような素晴らしい機会を作っていただいた主催者、羅須地人鉄道協会、成田ゆめ牧場の方々に感謝します。

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早朝5時前から出庫準備が始まっている。

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圧力も上がり6号機と7号機が重連で出庫。

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この日のメニューはまず6、7号機の重連で出発。編成はナベトロを入れた貨物列車。

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重連の後は本務機7号が先頭、6号機が後補機となって再び出発。朝のさわやかな光の中で煙も蒸気も最高!

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無事特別運転を終えてくつろぐ2両の蒸機。お疲れさまでした。

Fuji X100f,  XF23, CANON EOS 60D EF17-40/4 (すべて特別な許可のもと撮影しています。)      VOL.1346

2020年3月18日 (水)

長野電鉄 信濃川田駅を見にゆく   服部一人

先日長野電鉄にモハ3500を見に行ったおり、廃止になった屋代線信濃川田駅に立ち寄った。ここはなかなか味わい深い木造駅舎があり、往時は2面のホームで列車交換も設定されていた。

廃止後は長野電鉄の歴代車両が集められ、一時は記念公園のような施設にする計画もあったと聞く。しかしながらその計画も頓挫し現在はレールの一部と駅舎は残るが、車両のほとんどは片付けられてしまった。

以前に訪問したのは2012年の1月。(こちら→http://blog.rail-on.com/2013/10/post-db14.html  )この年の4月1日に屋代線は廃止となっている。すでに8年がたった。

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当時あった2面ホームのうち屋代方面行きホームは撤去された。ホームのすぐ横にあった桜はそのまま残る。いつか桜の季節にもう一度来て見たい。

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ホームから屋代方面を見る。

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夕方の列車交換。線路の大半は撤去されたが、構内踏切の痕跡は残る。

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ホームから須坂方面を見る。

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ぽつんとひとつだけブルーシートで包まれた車両は長野電鉄のモハ1000型。先頭部と台車だけが残る。

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今も残る駅舎(上段が2012年、中段、下段が2020年)現役の最晩年の頃に比べると屋根も塗り直され、ところどころ補修されて今の方が保存状態は良い。内部は現役当時そのままで時刻表も掲げられたまま。

撮影は古い写真が2012年1月、現在の写真は2020年1月

CANON EOS5DⅡ, EF24-105/4, 70-200/2.8, FUJI X-E1, X-T3, XF17-55/2.8, 16-55/2.8  VOL.1342

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